前の月 / 最新

残日録 --- The Remains of the Day / 2025-10

2025-10
SMTWTFS
1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031

2025 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2024 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2023 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2022 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2021 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2020 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2019 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2018 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2017 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2016 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2015 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

2025-10-06 Mon

 途中まで聞いていた In Our Time の Slime Mould (粘菌)の続きを聞く---とても面白い;粘菌の図鑑やら、南方熊楠の『図譜』やらを買ってしまった: [Cinema/TV]

きょうの散歩のお伴は In Our Time の Slime Mould である。 先週の土曜日に聞きはじめたのだが、とても面白い。 すぐにアマゾンで図鑑を二つ(南方熊楠の『菌類図譜』と『変形菌 発見と観察を楽しむ自然図鑑』)を注文した。 日曜日に届いた!

今回の In Our Time (Slume Mould)の1つのテーマは「粘菌の知性」だ。 ちょうど Dennett の「志向姿勢」とか「理解力なしの能力」などを勉強していたので、 とても参考になる。 というわけで、『考える粘菌 --- 生物の知の根源を探る』 (中垣 2023) も買ってしまった。

2025-10-10 Fri

 「メイプル・ストリートに怪物がやってくる」(トワイライト・ゾーン)を聞く: [Cinema/TV]

きょうの散歩のお伴は: Monsters are due on the Maple Street を聞く。 群集心理を描いて面白いのだが、 さすがに40分程度で、 こんなに次々と「わたしたちの中の敵」が作られていくのは、 説得力に乏しいと感じてしまう。 ドラマツルギーとしてはよく出来ていると思うので、 もっと少人数となるセッティングで、 2時間くらいの時間をつかって、 同じテーマを奏でると面白いかもしれない。

2025-10-12 Sun

 『用心棒日月抄』を読む---やめられない、とまらない: [Book]

にちようびの徒然(つれづれ)に藤沢周平の『用心棒日月抄』 (藤沢 2002)を読みはじめた。

そして、すぐに読み終わった。

このシリーズを読むのは、これで3回目かしらん。 藤沢周平の町人ものは読み始めるのに勇気がいる。 ハッピーエンドはほとんどないし、 辛い場面が多いのだ。 それに反して、藤沢周平の剣豪もの(武士が主人公の物語)は 安心して読める。 ストーリーも基本的に勧善懲悪で、 ハッピーエンドになるので嬉しい。 池波正太郎みたいなスーパー剣豪ではないので、 剣のバトルを(それなりに)わくわくしながら読める。

用心棒日月抄は、そんな剣豪もののなかでも、 嬉しい程に低学年向けだ(けなしているのではない)。 どんどん読み進めてしまった。 短編集をとおして、 本筋にからみあう忠臣蔵も楽しい趣向だ。

2025-10-15 Wed

 Pangloss 論文を読み終わる---とてもよく出きている論文だ;「終わっている」論文のようには思えない: [Anthropology]

The Spandrels of San Marco and the Panglossian Paradigm: A Critique of the Adaptationist Programme (Gould \& Lewontin 1979) を読みおわった。 ぼくがずっと思っていた疑問を、 明解に(いささか余計な衒いが多いが・・・)述べた論文だ。 以下、感想をかねた Todo と自分への設問。

Pangloss を読み終わって

  • なぜ「遺伝子がそれ自身を再生産することが、それにとっての 生きる目的になる」ことが、 トートロジー(問答無用の真理)になるのか、を証明せよ。
  • 群淘汰 (group selection) 説が正しくないことを、 証明せよ。
  • 「学習」はダーウィン主義の根本をくずしてしまうわけではないことを 証明せよ。
  • 性淘汰の議論は (1) 淘汰と整合しないわけではない、 そして、 (2) 同語反復になっているわけではない --- ことを証明せよ。
  • 以上、Pangloss 論文とはとくに関係ない。 これまで僕が進化論に関して理解していないこと (疑問に思っていること)を列挙しただけである。
  • 『ダーウィンの危険な思想 --- 生命の意味と進化』 (デネット 2000)、とくに 第10章をよんで、 グールドの議論がどのように論駁されているのかを確認せよ。
  • 『進化論の何が問題か --- ドーキンスとグルードの論争』 (垂水 雄二 2012) を再読して、 ドーキンスがグールドにどのように反論しているのかを確認せよ。 --- デネットの議論は、たぶん(おぼろげな記憶だが)、 グールドに負けたくないので、 余計な衒学趣味・もってまわった議論がおおかったと思う。 たぶんドーキンスの方がストレートに議論を展開してくれていると思う。
  • この論文で説明ぬきで導入されている Bauplan の考え方は、 人類学の機能主義にとりいれることができるのではないか。

2025-10-16 Thu

 きょうの散歩のお伴は A World of His Own (Twilight Zone) ---よくできました ^_^: [Cinema/TV]

きょうの散歩のお伴は: A World of His Own (Twilight Zone). グレゴリー・ウエストは人気の脚本家、 彼の秘密の能力は、 彼が脚本の中で作り出したキャラクターを現実にもってくる、という能力である。 彼が作り出した美人、メアリーをめぐって、 妻のビクトリアと喧嘩になる。 ・・・という物語だ。

落ちもすばらしい。

「落ちは、もう一回ひとひねりしてもいいのでは」と思ったが、 考え直した --- それでは江戸川乱歩に (あるいは、「ブレヒトに」)なってしまう。

2025-10-17 Fri

 BeyondPod が廃盤になって以来 Android 上の Podcast アプリケーションをずっとさがしていた---発見! AntennaPod がとてもいい!: [Soft]

[12:21:08] Beyond Pod がいなくなってから、 あちこちの Podcast のアプリケーションをためしていた。 BeyondPod は Playlist の作成方法がすばらしかった。 プレイリストのそれぞれのスロット(一番目、二番目・・・)に、 どのポッドキャスト(あるいは、どのカテゴリーのポッドキャスト)を当て嵌めるかを 詳細に指定できるのだ。 またそれぞれのポッドキャストをどのようにダウンロードするかも 詳細に指定できる。 BeyondPod 以外のどのアプリケーションも、 プレイリストの作成はアプリケーションまかせの、 とても原始的なものだ。

最近使っていたのは Podcast Addictだ。 Podcast Addict の一番の欠点は Playlist の修正が直観的でないところだ。 リストの作成がアプリケーションまかせなのはもう我慢するしかないのだが、 そのリストの微調整がとてもやりづらいのだ。 直観的にはリストの中を移動したいアイテムを 〈長押しして(上や下へ少しづつ)移動させる〉のが誰でも考える方法だろう。 ところが、 Addict では、そのアイテムを長押ししてメニューをだし、 そのメニューから「一番上」とか「一番下」とかを選択するのだ。 じつにイライラする! [--例えば、それを上から三番目の位置に移動させることを考えてみよ--]

・・・かといって、 ほかのアプリケーションは、どれも、たいしたことない。 けっきょく、Podcast Addict を含めて、 どのポッドキャストアプリケーションもイマイチなのだ。

さてさて・・・

今日、昼休みにあちこち Android の Podcast アプリケーションを さがしまわっていた。

いいの、みつけた --- AntennaPod である。 なんと Github に拠点を置くフリーのソフトウェアだ。 まだまだ発展途上だが、 この GitHub をつかってフリーというコンセプトが気にいった! フォーラムもある --- さすがにプログラミングで貢献はできないが、 なんらかのアイデアを貢献できるかもしれない。

2025-10-18 Sat

 パングロス論文を読み終えて考える---もっと勉強しなくては: [Anthropology]

以下は、 「進化学界においては、 パングロス論文は間違ったものとされ、中間説は定説になっている」という 理解にもとづいて書きます。

グールドとルウォンティンが パングロス論文、 すなわち、 "The Spandrels of San Marco and the Panglossian Paradigm: A Critique of the Adaptationist Programme" (Gould \& Lewontin 1979) の 中で目指すのは、適応至上主義はまちがっており、 進化にはそれ以外の道もあるのだ、ということを示すである。 そこで出された様々な具体的な案はどれも面白いが、 それらはさておき、 野望は以上のとおりだ --- すなわち、 適応で説明するのがいかんというのではなく、 それだけではないよ、という議論だ。

中間説とは、まさにそのような答えじゃないのだろうか?

分子レベルだと中間説(自然淘汰じゃないよ)はよくて、 表現型レベルだと中間説(自然淘汰じゃないよ)はよくない、というのだろうが、 その辺の議論が、ぼくにはよく分かっていない。

2025-10-19 Sun

ニュース…「ホワイトハウスは揶揄するために Bluesky に侵入したが、予想どおり大量のブロックにあっただけであった」---ぼくも ちゃんとブロックしました : [Category SNS]

[Visit Website Gizmodo]  

原題は:White House Invades Bluesky to Troll、 Predictably Gets Mass Blocked。

2025-10-20 Mon

 きょうの散歩のお伴は "He's Alive" (Twilight Zone)---1960年代のアメリカの片田舎の三流ネオナチの演説がこの頃よく聴く演説にそっくりで とても Creepy!: [Cinema/TV]

散歩のお伴(今日から AntennaPod をつかってみる)は: Twilight Zone He's Alive. アメリカの片田舎で二流ナオナチ団体をつくろうとしている 主人公ピーターの演説は、そのままアメリカ大統領の演説として通る --- 薄気味悪いほどに酷似している。 なお、このエピソードは 1963-01-24 に放送されたものである。

2025-10-23 Thu

ニュース…「県警察、フローレス島のカトリック司祭を「マフィア組織」疑惑で告発」---わかりにくいタイトルだが、ポイントは「ある神父が、警察や市民の一部をマフィア呼ばわりしたので、警察によって名誉毀損で訴えられた」ということ : [Category Flores]

[Visit Website Floresa]  

原題は: Polisi Lapor Imam Katolik di Flores terkait Tudingan 'Jaringan Mafia' dalam Proyek Waduk Lambo (Floresa の記事です)

リード文は: ステフ・トゥペン・ウィティン神父 (Pater Steph Tupeng Witin) (SVD)は、 ナゲケオ県警察によるこの告発を「刑事訴追」と呼んだ

なお、ここで問題になっているWaduk Lambo については すでにこの Blog で 2024-03-21 に紹介している。 「ワドゥック・ランボ」が地名で、 プロジェクトはダムの建設だ。 神父が執筆したオリジナルの記事については、 つぎの項で扱う。

以下は Sider AI による【要約】

Floresa の報道によれば、 フローレス島ナゲケオ県 [Nagekeo] で警察に対する名誉毀損の疑いで、 カトリック司祭ステフ・トゥペン・ウィテン(SVD)が訴えられた。++

++ ウィテンは Waduk Lambo(ラムボ貯水池)プロジェクトに関連する 「麻薬的な権力網」や抑圧的行為を指摘するオピニオン記事を Florespos.net に掲載し、 警察幹部や一部関係者が土地強制や不公正な補償を行っていると主張した。++

++ 【警察側は、神父の】この主張は、 報道機関と市民を「マフィア」網の一部として断罪する内容を含み、 複数の関係者が内部で情報操作を行い、 記者の報道にも影響を及ぼしていると断言している。 一方、 被告側弁護士は言論の自由と証拠の提示を重視し、 法的責任の追及を表明している。++

++ Waduk Lambo は国家戦略プロジェクトとして2021年から進行中で、 総予算は 1.47 trillion( = 1,470,000,000,000)ルピア [--147 兆ルピア(135億円相当)--]、 80%超の工事進捗にもかかわらず土地賠償は未完である。

Key Points

  • カトリック司祭ステフ・トゥペン・ウィテンが、ナゲケオ警察を名指しする記事を理由に名誉毀損の疑いで訴えられた。
  • 記事は Waduk Lambo プロジェクトをめぐる「麻薬的な権力網」の存在を暴露する意図で、警察幹部や関係者が村民の土地強制や補償の不公正を推進していると主張している。
  • 著者は警察とメディアの癒着、記者の組織的な情報操作、"Kaisar Black (KH) Destroyer"と名付けられたグループの存在を指摘した。
  • 被告代理人は言論の自由と事実確認の必要性を強調し、拡散された意見に対して法的責任を追及する方針を示した。
  • Waduk Lambo は国家戦略プロジェクトとして進行中で、2021年着工、総額は約14.7億ドル相当(国内通貨換算の表記あり)とされる。
  • プロジェクトの進捗は80.4%(2025年5月時点)だが、土地賠償は未完了で、地元民の同意と補償の公正性が焦点となっている。
  • 著者の主張は「単なる土地紛争」や「建設問題」を超え、組織的マフィアの関与と市民・メディアの抑圧を指摘している。
  • 報道機関Floresaは独立メディアとして、読者の支援を呼びかけ、取材と公正な情報提供を継続する意向を示した。

ニュース…「ナゲケオ・マフィアによって正義が奪われるとき:(ナゲケオ・マフィアの襲撃を深く追う)」---これが、警察に訴えられた神父さんによるオリジナルの記事です : [Category Flores]

[Visit Website florespos.net]  

「フローレス島で、ある神父が警察によって名誉毀損で訴えられた」 という記事を紹介したが、 そこで問題になった神父が執筆した記事がこれ (florespos.net)です。 [--消滅した florespos のサイトが復活した?別口?--]

記事は12ページにわたるものなので、 ここでは最初のページだけ要約する

以下 Sider AI による要約である:

社会の弱者が巨大な組織犯罪(マフィア)の支配に直面する中、 公正と倫理の価値が力の前に揺らぐ現状を描く。 マフィアと結託する権力機構が支配力を強化する一方で、 市民・ジャーナリストは抑圧と脅威に直面し、 Thucydides の現実主義を参照する形で 力の均衡が正義を規定すると論じられる。 結局、 力によって正義が左右される現実を浮き彫りにし、 倫理と法の重要性を訴える。

Key Points

  • 弱者は力の均衡が崩れた状況下で正義を取り戻す手段を欠くと指摘されている。
  • マフィアと結託した警察・法曹・政治家・企業家の存在が地域社会の安全を脅かしている。
  • ジャーナリストが取材を続けることが難しく、報道の自由が脅されている。
  • Thucydides の Melian Dialogueが、力の前で倫理が揺らぐ現実を歴史的に示す比喩として用いられている。
  • 「力は正義を決定する」という現実主義的観点が強調され、倫理的判断の限界が指摘される。
  • 地域の住民は自らの権利を主張する手段を失い、開発の恩恵も不平等に配分されている。
  • 公的機関や指導者が norma を守るべきだとする国際的な総論が再確認されている。
  • ニュース記事は、現状を批判的に描きつつ、同様の権力構造が他地域にも存在する可能性を示唆している。

2025 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2024 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2023 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2022 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2021 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2020 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2019 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2018 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2017 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2016 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2015 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

前の月 / 最新

最終更新時間: 2025-10-24 11:06