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残日録 --- The Remains of the Day / 2020-08

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2020-08-03 Mon

 アーセナルが FA Cup 優勝!終わりよければ全てよし: [Soccer]

FA Cup Final --- Arsenal vs Chelsea を Arsenal Channel で観る。 2 vs 1 でアーセナル FC の逆転勝ち! いやぁ、気持ちがいいですね。 終わりよければ全てよし、ということで・・・。 今年のわるいことはすべて忘れよう。

2020-08-07 Fri

 歯が痛い!がまんできない!歯が痛い!歯医者さんに電話する;予約は明日 --- がっかりしたような、ほっとしたような: [Health]

歯が痛い!歯が痛い!いたい、いたい、いたい! 大災害のさなかに歯科医に行くはめにならないように 注意していた筈なのに・・・。 痛い!

13時ころいつもの歯科医に電話したが、 「いまは予約をうけつけていません」という 録音メッセージがでた。 コロナ禍で閉院したんじゃないかと心配になったが、 15時にもう一度電話したらOKだった。 ちょっとほっとしような、がっかりしたような。 今日の予約はとれなかった --- がっかりしたような、ほっとしたような。

明日(土曜日)の12時10分からの予約をとれた。

 むかしの学生さんたちとオンライン飲み会をした;深夜まで;楽しく酔っ払い: [Food]

きょうの夜の9時からUT (OB)くん開催のオンライン飲み会だ。 UT (OB)くんち総出演だ --- 娘さん3人と奥さん --- しばらくしてMY (OB)くんも出てくる。 MY (OB)くんの娘さん はもう寝ちゃったらしい。 最後に真打NF (OG)さんが登場! NF (OG)さんちの回線状況がわるくて、 画像がカクカクだ。 そこが大受けだった。

[] []

12時(深夜)に解散した。 タクシーに乗らなくてすんだから、1万円もうかった。 3時間飲んでたんだ。 あ・たのしかった。 オンライン飲み会にはこのくらいの人数がいいのかなぁ。

2020-08-08 Sat

 青軸ブルートゥースキーボードはガチャガチャ・ギラギラ、とても快適!: [Gadget]

別宅(書斎)のコンピューター作業机が たいへんなことになっている。 Ubuntu、Crostini (on ChromeOS)、 Dex (Android)、 Windows10、 Debian (Respberry Pi) の5台が常時稼動していて、 キーボード3台をひっつけり離したりしてやりくりしている。 なんとかしなくっちゃと思い、 複数のブルートゥース接続を(できれば瞬時に) 切り替えることができる能力をもった キーボードを探した。 絶対の条件はメカニカルキーボードだ。 いろいろ探した --- 選択肢として、 RK71 というキーボードと Filco (Majestouch MINILA-R Convertible)のキーボードが 最終的に残った。 Filco の長所はブルートゥース(四つ)切り替えが 専用ボタンであるという点だ。 RK 71 は Fnキーとの組合せで切り替えるらしい --- どうも不安だ。 RK71 の長所は、 キーの多さだ。 名前のとおり71あるので、 不自然な配置はない。 それに対して Filco のほうは「変態キー配列」と レビュアーが言うほとの、 無理のある配列らしい。

値段も考えて (Filco が17380円、RK71 が 7880円) RK71 を選択した。

今日 RK71 キーボードが届いたので、 さっそくセットアップした。 青軸 71 キーは問題なし。 がちゃがちゃメカニカルキーは快適そのもの! そして71キーがあるので、 キーは自然な配列だ。

問題はブルートゥースだ。 このキーボードはブルートゥースを五つ、 USB を一つとコネクトできることになっている。 はたしてキーの組合せでのブルートゥースの切り替えは うまくいくのだろうか・・・

心配は無用だった。 設定も、切り替えも問題ない。 キーボード一つで、 軽々と五つのマシンを動かしている。 (あと一つ余裕がある。)

いい買い物でした。 ↓の写真は「ビフォア」と「アフター」です。

[Before] [After]

2020-08-11 Tue

読了… ことばの発達の謎を解く (今井むつみ) ---発達心理学は盲点だった;こんな面白い学問があるんだ [_Author-今井むつみ][Book-ACAD][Book]

 霊長類の記号獲得の議論以上に、 乳幼児の言語獲得の議論は面白い。 しばらく発達心理学系の話を読もうかな。 著者の「一般化」に関する議論を読んでいると (とってもあたり前の議論なのだが)、 意味の自然化の選言問題が、間違った前提で 議論されているように思えてきた --- 初期ドレツケ [Dretske] の議論(意味の因果論)で問題ないんじゃないのだろうか。 これからよく考えてみよう。

2020-08-13 Thu

読了… 『説話の中の民衆像』 (小林 豊) ---畸人は世捨ての一歩手前だ [_Author-小林 豊][Book-ACAD][Book]

小林が 中世、近世の説話集からピックアップするさまざまな人間が とてつもなく面白い。 中には、 網野 (『中世の非人と遊女』 (網野 善彦 2005)) や横井 (『中世民衆の生活文化』 (横井 清 1975)) が好きそうな「悪党」もいる。 田沼意次が失脚しての引越しを指揮する家臣などは 「悪党」であろう --- 彼は 「なんでおれも一緒に零落しなけりやならないんだ」と考えて、 引越し荷物を持逃げするのだ。 えらそうな人(だいたい僧侶)が失敗する話は、 他人事として楽しい --- 餅が好きで好きでたまらなく、 訪問先で餅つきの音が聞こえると身悶えする お坊さんのエピソード(『沙石集』)には、 「かわいい」という声が聞こえてきそうだ。 ぼくが一番好きなのは、 ちょっとだけズレている人たちだ。 例えのしかたがどこかぼけていて、 清少納言に馬鹿にされる源方平とか、 自分の名前が「こどもっぽい」と言われ、 考えた末に「バチギ」とした人 (「どういう意味だい?」「おれにも分からんがかっこういいだろう」) (『寓意草』)だとか・・・。

最後に 小林は『荘子』をもちだして「畸人」について語る。 「「畸」とはそもそも何か。 整然と区画されていない、 半ばな田のことだ、と漢和辞典は教える」(p. 201) 「畸人」とは世間の基準にあわぬ人たちなのだ。 地上の畸人はもしかしたら天上の君主なのかもしれないと 『荘子』は続ける。

ぼくは、 この本に描かれた畸人たちは、 馬場あき子の描く 世捨て人 (『世捨て奇譚 --- 発心往生論』 (馬場 あき子 1979))と 繋ると思う。 二人の論者の目線が交差するのが、おそらく 『沙石集』ではないだろうか (小林はこの説話集を「求道者の風狂」と言う)。

『沙石集』、読んでみようかな。

2020-08-14 Fri

ニュース…「エンデ県が再び「レッドゾーン」になった。規定に沿った行動をとるように指導するべく県政府が要請をうけた」 : [Category NTT]

[Visit Website Ekora NTT]  

原題は Kembali Zona Merah Covid-19, Pemkab Ende Diminta Konsisten Terapkan Protokol Kesehatan.

08-14 NTT州で1名の陽性がでた(エンデ県)、というニュースだ。 これによって現在NTT州の治療中の件数は18 になった、と報じている。 NTT州はインドネシアの中で罹患者の数が 最も少ない州だろう。 州も県もそれなりに頑張っている。

なお、東京ではきょうも300人超が確認されている。 毎日しゅくしゅくと数字が発表されるが、 日本の行政は動かざること山の如し --- じつに、驚くほどに、まったく、何もしない。

2020-08-16 Sun

 Wizards (Tales of Arcadia) (on Netflix) を見おわった; 第2部がちょっと浮いたままだけど、ま・いいや。とっても面白かったので許す: [Cinema/TV]

Wizards は『アルカディア3部作』の最終パートだ。 第1部 The Trollhunters と密接に関係する筋だ。 1部と2部にときどき出てきてた喫茶店の店員、 ヒジルドゥ (Hisirdoux) があたらしい主人公だ。 彼がじつはマーリンの弟子(魔法使いの apprentice)だったという ところから話は始まる。 そして、物語は、 すべての発端である 12世紀のキャメロット(アーサー王やマーリンのいる王都)へと 移動する。

なかなかの迫力でした。 全10話しかなかったけど[--スタッフがつかれちゃったのかな--]、 堪能した。   第1話で徹底的な悪者だったキャラクターが、 深みを増してゆく。

明日から、もう一度 Troll hunters を見なおそう。

2020-08-18 Tue

ニュース…「マスクのせいでビクトリア州で今年のマグパイの攻撃はひどくなるだろう」 : [Category Australia]

[Visit Website The Guardian]  

原題は: Magpie-swooping season could be worse in Victoria this year as face masks confuse birds

オーストラリアは一度はコロナ禍を押さえたかに 見えたのだが、 ビクトリア州(メルボルンのある州)でとつぜん感染が再開、蔓延している --- いまビクトリア州は ロックダウンの状況にあり、 州境はすべて閉じている。 公共の場ではマスクの使用は強制である。

さて、閑話休題・・・マグパイという鳥 [--翻訳はカササギだと思う--]がオーストラリアにいる。 ぼくがANU[--キャンベラにある大学--]で 博論を書いていたとき、 図書館の前の木に毎年巣をかけるマグパイがいた。 こいつらのせいで図書館に行くのは必死の強行軍だった。 無防備の人間を攻撃してくるのだ。 巣をかける時期には、人はマグパイ対策を忘れてはならない。 彼らは同じ人間を何度も何度も攻撃してくる --- これは怖い。 こいつら特定の個人を認識して、 執拗に攻撃してくるんじゃないかと思ってた・・・

じつは、そうなんだ・・・そうだ。

彼らは(専門家によると) 人間の個体認識をしているのだそうだ。 しらんかったわぁ。 とりわけ脅威と思われる人間には、 マグパイは執拗に何度も攻撃をしかけてくるのだという。

なんの話かというと、ビクトリア州の話だ。 間も無く巣作りの季節だ。 専門家によると、マグパイはマスクをかけた人間の 認識はできないだろうとのこと。 というわけで、彼らは、 今年は無差別に人間に攻撃をしかけてくるだろう、 ということだ。

2020-08-19 Wed

ニュース…「NTT州の警察がベシパエの慣習法社会でおきた家屋の破壊という犯罪を調査している」 : [Category NTT]

[Visit Website Suara.com]  

原題は: Polda NTT Telusuri Tindak Pidana Pengrusakan Rumah Masyarakat Adat Besipae。

事件の場所はティモール島の TTS (Timor Tengah Selatan) 県のアマヌバンだ。 ベシパエの慣習法社会 (masyarakat adat) の人の家屋が 壊されたという。 この "masyarakat adat" という言い方がえらく これ見よがしなので、 クリッピングをした。

事件は単純で、 ベシパエ村の住民の家屋が壊されたという話だ。 壊したのはブリモブ(警察機動部隊)だ。 ようするに、背景に 国家対慣習法という図式が見え隠れしている 事件らしい。

同じく Suara.com の前日の記事をみて、 すこし事情が飲み込めてきた --- 「強制的に立ち退かされて・・・役人がNTT州の 慣習法社会ベシパエの調理器具を壊し、食料をほうりなげた」 Diusir Paksa, Aparat Rampas Alat Masak dan Makanan Warga Adat Besipae NTT。 ブリモブは住民を家から追い出し、 什器などもこわしたというのだ。 ブリモブの方の言い分は、 「この件はすでに議論は終わっている。 彼らの移動先の場所もすでに決まっているのだ。 いまさなら何を言う」というものらしい。

何のための強制立ち退きなのだろう? もう少し調べてみよう。

[2020-08-22] BBC Indonesia の podcast で取り扱われていた。 それほど masyarat adat に同情的ではないように聞こえる。

2020-08-20 Thu

ニュース…「えんえんと続く第一波 ---この国はコロナ禍の対応をどこで誤まったのか」 : [Category Indonesia]

[Visit Website Al Jajeela]  

アルジャジーラのニュースだ。

先週、 政府首脳の側近がマンゴスティンのジュースが COVID-19に効くと言って、 人々を勧誘した。 これは政府中枢の人たちによる、 一連のちょっと変わった治療法 (バナナの皮につつんだ米への祈祷からユーカリの ネックレス)の最新版だ。 この世界で四番目に人口の多い国では、 テストの率が世界の中で最も低く、 接触経路の探索をまったくせず、 感染が急激に広がっているのにもかかわらず ロックダウンをしようとしていない。 ・・・こんな風に記事は始まる。

日本ではありません。 状況はそっくりですが、 インドネシアの話です。 原題は Endless first wave: How Indonesia failed to control coronavirus。

それでも、 コロナの前の政治的な課題はいったん棚上げして、 コロナ禍に備えようとしているのは (あたり前とは言え)見上げたもんだ --- インドネシア、首都移転計画棚上げ コロナ対応を最優先。 「コロナはともかく、懸案の・・・」とは言わないところが とても上品だと思う。

2020-08-29 Sat

読了… 『草木虫魚の人類学 --- アニミズムの世界』 (岩田 慶治) ---畸人は世捨て人となったのだろうか? [_Author-岩田 慶治][Book-ACAD][Book]

岩田は人類学者をつぎのように非難する --- 「たいていの場合は、「○○族は木に魂が宿っているというが、 私(=人類学者)はそうは思わない」というデータの 後半部を切り落として、 その前半部分を○○族の宗教観念としているのである」 (p. 312) と。 ぼくにはこの指摘に問題が見出せない --- 「問題はないだろう、木に魂は宿っていないのだから」。 岩田はそうは思わない --- 「木に魂が宿る」のだと彼は言う。 でも、そうなってしまえば、 彼はもはや人類学者ではないだろうと、ぼくは言う。 いや、それこそが人類学なのだ、と岩田は言う。 「参与するということは --- ほんとうに参与するということは そこで死ぬということであろう、 --- 調査するものと調査されるものとの 共通の場をつくりだすことである。共通の場というのは、対話の場、〈問 えば答えるところ〉といってもよい」 (p. 22)。 ここで僕は「畸人」の (『説話の中の民衆像』 (小林 豊 1980)) を思いだす。 岩田はこちらの社会では畸人かもしれないが、 天上(あちらの社会)では君主なのだろうと。

とは言うものの、岩田の目はけっこうクールである。 彼はまだ「世捨て人」 (『世捨て奇譚 --- 発心往生論』 (馬場 あき子 1979)) にはなっていないからだ。 彼は(まだ)木に魂が宿っていると信じることができていないのだ。 ただし、彼はそう信じたいのだ。 そこが僕と違う。 僕は普通の人間で、岩田は畸人なのだ。 その信じる道を探る分析の仕方は (動機は違うのだろうが)とても冷静沈着な人類学者のやりかたとなる。 「一般に伝統社会の 人びとは現世と他界、この世とあの世の実在を信じている。信じていると いうのは、われわれのいわゆる信仰、摩訂不思議なものの存在を半ば疑い ながらも、なお、そうあれかしと願って己れの判断を停止しているような 状態ではない。この世とあの世、生者の世界と死者の世界の実在が眼に見 えているのである。二つの世界の実在が血肉化しているのである」 (p. 115)。 この問題は、 ぼくが、 「異文化の見つけ方」(中川 敏 2015)から 「引用と人生」(中川 敏 2016)、 「異文化の遊び方---美学と人類学の 出会う時」(中川 敏 2016)、 「嘘の美学---異文化を理解するとは どういうことか」(中川 敏 2017)で えんえんと検討してきた問題だ。 出発点は岩田と同じだ。 信念に関する2つの態度である --- 半信半疑の状態と信念を血肉化している状態とである。 僕はその二つの論理的な状況を分析するが、 岩田は(岩田らしく)血肉化するにはどうすればいいのかを 考える。 彼が挙げるのが:「強いる」「くりかえす」「さとる」の サイクルである --- これは (フーコー好きでなくても言うだろう)「訓練」だ!

この本の中で岩田はある宣言をする --- 「カミを訪ね当てられないであろうことを承知のうえで、私はこれからカミ を訪ねようとする。現代はカミと呼ばれる最後の価値を必要としているか らである。新たなカミが見つからなければ、人間と世界の統一は回復され ないからである。カミに背を向けてカミを訪ねに行く」 (p. 185)。 それは畸人から世捨への旅だったのではないだろうか? ぼくは岩田とは一度も会う機会はなかった[--だから「岩田さん」とも 「岩田先生」とも言う資格はもっていない--] --- 岩田はカミを見つけたのだろうか?

彼は畸人から世捨人になったのだろうか? そんなことを考えた。

2020-08-31 Mon

 『歌うカタツムリ-進化とらせんの物語』(千葉 聡)を読んだ---中立説の山田風太郎・明治もの風の解説!一気読みでした: [Book]

 話は19世紀、 ハワイの「歌うカタツムリ」伝説から始まる。 このカタツムリの歌を聞いたことがあるという宣教師がいた --- 名前をギュリックという。 ギュリックこそ、 これから長く続く 偶然(中立説)と必然(適応主義)の論争を開始した人間なのだ。 彼はハワイでのカタツムリの観察を通して、 自然選択とは無関係に、 種のもつ性質が(ランダムに)変化することによって 種分化が起こると主張したのだ。 すぐに適応主義者(生物のあらゆることが 自然選択から説明できると考える人間)ウォレスからの 反論を迎える。

この論争と日本との関係は深い。 中立説の立役者木村資生はもちろんだが、 カタツムリと日本の関係はもっともっと前に 遡る。 じつは、ギュリックは後に宣教師として日本に来ているのだ。 彼は日本の学会に大きな影響を与えた。 また、あのモース (『日本その日その日』(すばらしい民族誌だ)の、 あるいは「貝塚を発見した」モース)もまた 貝類学者である。 そのような歴史的背景をもつ日本の学会があるからこそ、 敗戦直後でありながら 二人の日本人(駒井卓と江村重雄)が、 その当時のカタツムリ論争に参加できたのである。 この二人によって、 螺旋はさらに大きく広がってゆく。

著者の千葉のライフヒストリーもまた カタツムリ論争の螺旋に巻き込まれながら語られる。 彼および彼の先生(麻雀をめぐる小話は笑ってしまう)、 そして彼の弟子たちが論争にかかわっているのは 当然だが、 面白いのは彼の「幼少の時分」の母に関する思い出である。 母はよく千葉に、彼女が心酔していた理科の先生 (中山伊兎)のはなしをしたという。 この先生、およびその夫の中山駿馬(しんま)は、 駒井に多くの試料(カタツムリ)を提供した人物なのだという。 ・・・因果はめぐる・・・。

螺旋はぐるぐると巡り、ひろがってゆく --- ある時点で中立説(偶然派)が勝利し、 つぎの時点でまが適応主義が勝利する。 しばらくするとまた中立説が勝つ。 けっきょく適応主義が完全勝利をおさめるのだが、 中立説は(木村資生の)「分子進化の中立説」として 適応主義と手をたずさえて、 現代の進化の総合説を支えることとなるのだ。

あの壮大で血沸き肉踊る 『社会生物学論争史〈1〉〈2〉 --- 誰もが真理を擁護していた』 (セーゲルストローレ 2005)、 以上に(スケールでは負けるが)面白い本だった。

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最終更新時間: 2025-04-28 11:09