『七面鳥殺人事件』(クレイグ・ライス 2014) --- マローンはでてこないけど、 ライスはライス、とても面白い。 酔っ払いの夢の中のように物語がすすんでいく。 『密室がいっぱい』(エドワード・D・ホック 2013) 。 「三重の密室」(リリアン・デ・ラ・トーレ) --- 下宿にとつぜんやってきたジャマイカ美人をめぐる 同宿の男たちの恋のさやあて。 ジャマイカ美人の部屋にはペットの小人と、 家政婦がいっしょに住んでいる。 まぁまぁかな。 「不可能窃盗」(ジョン・F・スーター) --- 密室をめぐる2人の友人どうしの賭。 完全な密室のなかに保管されているある古文書を 盗むことができるかどうかという賭である。 しかし、 「犯人」があらかじめ密室にいれてもらって、 「犯行」が終わるとそこから出してもらうというのは、 「密室」という名にふさわしくない設定だ。 落ちだけは面白かった --- 吹き出すほどに。 この本、読了。 『人形佐七捕物帳 巻一 Kindle版』 (横溝 2015)。 「座頭の鈴」まで。 どれもとくに面白くない。 岡本綺堂の上品さのかけらもない。 平次と八(野村胡堂)のかけあいの妙もみあたらない。 あるのは「ドバッ」と吹き出る血ばっかり・・・。
The Killer Everyone Knew and Other Captain Leopold Stories (Edward Hoch 2000)。 ホックのシリーズものの主人公はたいてい かわった特徴をもっている。 値打ちのないものだけを取るという泥棒とか、 悪魔を追って1000年生きていると自称する男とか、 ジプシーのボスだったり、 スパイだったり、 ビリー・ザ・キッドだったのではないかと 疑われている男だとか、だ。 ところが、 レオポルドは、推理小説の主人公としては 当り前すぎる殺人課の警部(キャプテン)だ。 そして人柄は、というと、 出木杉くんみたいに特徴のない男である。 ホックは、 そんな男を主人公として 読者をひきつける話をつくるのだ。 この短編集は、 退職間近から退職後のレオポルドをあつかっている。 "The Summer of Our Discontent" は、 まさにその退職が中心とした物語だ。 誰もが、 レオポルドの後継、 「殺人課」(Department of Violent Crime) を引き継ぐのは、 レオポルドの右腕、Lieutenant Fletcher だと思っていた。 「ところが・・・」という発端だ。 ほっとする話だった。 "Leopold at Rest" はタイトル通り、 退職してるレオポルドを主人公とした物語だ。 「なんだかひねりのない物語だな」と思いながら、 読んでいたのだが、 最後に急転直下でびっくりするような結末にいたる。 これがベストかもしれない。 その他もひねりが効いた物語ばかりだ。 この本、読了。 Kindle Unlimited にまだ数冊 Edward Hoch の本があるのが うれしい。
インフィニティに座って Kindle Unlimited の読書する。 『人形佐七捕物帳 巻一 Kindle版』 (横溝 2015) からは 「屠蘇機嫌女捕物帳」まで。 まぁまぁだけど古臭い。 The Killer Everyone Knew and Other Captain Leopold Stories (Edward Hoch 2000) "Puzzle in a Smoke FIlled Room" まで. 僕は、レオボルド警部ものはどれもとても好きだ。 読み終わるのがもったいない。 都築道夫『三重露出』。 怖れた程には時代がかってない。 とは言え、すぐに積読の置き場所へ一直線。 『七面鳥殺人事件』 (クレイグ・ライス 2014) 。 さすがにクレイグ・ライス、 心地よい出だしだ。 彼女の物語はどれも掛け値なしに大好きである。 ただし、これはマローン物ではない。どうなるか。 『密室がいっぱい』 (エドワード・D・ホック 2013)。 短編集。 「鏡もて見るごとく」(ヘレン・マクロイ)。 とても時代がかっていて、 読むのがこわかったが、 けっこう面白かった。 「七月の雪」(エラリー・クイーン)。 落ちがよかった。 「三重の密室」(リリアン・デ・ラ・トーレ)。 まぁまぁかな。 『宇宙船ビーグル号』 (A・E・ヴァン・ヴォクト 2013)。 この本が、こんなに読むのが辛いとは・・・。 ぼくの記憶はほんとうに頼りにならない。 胃が痛い --- 宇宙船の中の心理戦なんて、一番嫌いなテーマだ。 数ページ読んでやめた。 返却しようかな。 『夜歩く』 (ジョン・ディクスン・カー 2013)。 カーの処女作だという。 バンコランの出る話なので、あまり期待はしていない。
今年も大晦日。 昼下がり。 ベッドでだらだら・・・。
Kindle Unlimited で借りている 『月を売った男』(ハインライン) (Heinlein ) を読んでいる。 タイトルの「月を売った男」を読む。 ハインラインって、 けっこうこんな「ビジネスもの」が好きなんだな、と思った。 最初の短編、「光あれ」も 一種のビジネスものだ。
さて「月を売った男」に戻ろう。 素晴しいスピードで物事が進む。
ハリマンの頭は信じられない速さで 危機がくる度(たび)に、それに対抗するためのアイデアを 次々と生み出す。 それにしても長い。 この長さはドラマツルギー上、必要なのだろうが、 流石に飽きてしまう。
次の「鎮魂歌」を読んで納得した --- 「そうか・・・この短編を書くために、 あの長ったらしい長編を書いたんだ」と。
[22:05:47] Kindle Unlimited が1ヶ月98円(3ヶ月間のみ)のセールを している。 すぐに申し込んだ。 グーテンベルク21 を中心に本を借りている。 かなりの確率で読んだことのある本を借りているが、 それもまたよきかな、 とりわけ古いSFは素晴しい! (古いミステリーははずれる可能性が高いが)。
『宇宙船ビーグル号』(ヴァン・ヴォグト)を読んでいる。 石原藤夫 (『惑星シリーズ』)や スタニスワフ・レム(『泰平ヨンの航星日記』) みたいな、 ほのぼの航海日誌だと記憶してた。 記憶がこんなに間違っていたとは・・・。 そして、主人公の専門領域は 「人類学」だとばかり思ってた。 「綜合情報科学(ネクシャリズム)」というのだそうだ。 これはびっくり。
フリッツ・ライバーの『ビッグ・タイム』は、 いつまでたっても茫漠としたまま。 いやになったので、 止める。
『フレンチ警部の事件簿 1』 (F・W・クロフツ (Crofts) 2012) は: 犯人視点の描写が犯行まで続く。 そうして、これこれの事実を 隠すのに失敗したので 犯人はフレンチ警部につかまりました。。。 これじゃ読む気をなくす。 それに比べれば、 『思考機械の事件簿 1』(ジャック・フットレル (Jacques Futrelle) 2024) のほうが まだまし。 しかし、『思考機会』はあまりに古臭い。 ホームズの時代を越えた面白さにあらためて感動する。 というわけで、 2冊ともに未読のまま返却する。
『宇宙をぼくの手の上に』 (フレドリック・ブラウン (Fredric Brown) 2018) は 120点つけたくなるほど面白い。 どれも既読なのだろうが、[--英語で全部読んだはず--] まるっきり忘れている。 「星ねずみ」だけは筋をはっきり覚えている。 そして「星ねずみ」が一番楽しかった。 この本はすべてを読んだ上で返却した。
にちようびの徒然(つれづれ)に藤沢周平の『用心棒日月抄』 (藤沢 2002)を読みはじめた。
そして、すぐに読み終わった。
このシリーズを読むのは、これで3回目かしらん。 藤沢周平の町人ものは読み始めるのに勇気がいる。 ハッピーエンドはほとんどないし、 辛い場面が多いのだ。 それに反して、藤沢周平の剣豪もの(武士が主人公の物語)は 安心して読める。 ストーリーも基本的に勧善懲悪で、 ハッピーエンドになるので嬉しい。 池波正太郎みたいなスーパー剣豪ではないので、 剣のバトルを(それなりに)わくわくしながら読める。
用心棒日月抄は、そんな剣豪もののなかでも、 嬉しい程に低学年向けだ(けなしているのではない)。 どんどん読み進めてしまった。 短編集をとおして、 本筋にからみあう忠臣蔵も楽しい趣向だ。
この1週間ほど散歩のお伴は The Man in the Brown Suit だった。 [--BBC のフルドラマタイゼーション--] じつに楽しかった。 [--一度読んだと思うが、筋をまったく忘れていた--] 強いて分類すれば、 たぶん The Secret Adversary (Tommy and Tuppence series)の流れかな。 ぼくの中では、 Why Didn't They Ask Evans 同様の「単発もの」という分類だったが。
女主人公 Ann Beddingfield は "Pamela in ..." シリーズの大ファン。 スピルバーグがあこがれた、シリーズものの冒険映画のようなものだと思う。 その映画の主人公のパメラのように、 アンはつぎつぎに冒険に巻き込まれていく。 クリスティは書いていて楽しくてしょうがなかったんじゃないかしらん。
ちょっと目には Paul Temple シリーズに似てなくもないが、 ストーリーはきっちりしている --- ポール・テンプルでは、ただただ回数をかせぐために、 [--ポール・テンプルシリーズは有名なラジオ・シリーズ--] いろんな事件が起きるのだが、 さすがクリスティである、そんなことはない --- The Man in the Brown Suit では、それぞれの事件は 緊密に(それなりに「緊密に」)つなぎあわされている。
全編をつらぬく謎は "The Colonel" が誰なのか・・・というものだが、 選択肢はそれほど広くないので、 謎をといても、読者がびっくりするわけではない。 それでも、 "The Colonel" のキャラクターが楽しいので許してあげる。
あまりに愉快だったので、 原作を読みはじめる。 たいていの人物が、「みた目」や「最初の印象」や 「自分で言うところの人間」ではないので、 最初から読むのが実にたのしい。 「あ・こいつ、最初に出てきたときはこんな印象だったんだ」 [--なお、ナレーションのほとんどはアンの一人称語りである--] とにやにやしながら、 今、読んでいる。
いろいろ書きたいこともあるが、 とまれ、 とても楽しんだ。
モームの『雨』 を読みおわった。 「雨」の筋は、もちろん、知っている。 それでも、ドキドキしながら読んだ。 ミス・トムソンの琴姫七変化みたいな変貌が楽しい。 ミストムソン役には1980年代のシンディー・ローパーがいいかな。
「ホノルル」。 「聡明な旅行者というものは想像だけの旅行をするものである」という 有名な書き出しの物語だ。 ホノルルで「わたし」が出会った 不細工な白人、バトラー船長と、 とても彼に似つかわしくない美しい原住民の娘、 原住民の航海士、無骨なバナナ。 「わたし」は彼らにまつわる恋物語を聞かされる。 落ちがたのしい。
「東洋航路」。 中年の女性、ハリスン夫人の物語。 物語は船が着いたシンガポールの楽しい描写から始まる。 --- 「マレー人、 これはここの土着の住民なのであるが、 おどおどしたように場末に住んでいて、 数も少ない。 街頭にむらがっているのは、調子のよい、すばしこくて 勤勉な中国人である。 色の黒いタミル人は、まるで他国にほんのしばらく 滞在している旅人みたいに、 ひっそりと裸足(はだし)で歩いているが、 瀟洒で裕福なベンガル人は、その環境のなかで楽々としており、 自信たっぷりである。 狡猾で人にとり入ることのうまい日本人は、 何か急な秘密の用件で忙しそうだ。」
ハリスン夫人は夫の浮気を機にマレーを出て、 イングランドに帰るところだった。
醒めることを分かっている中年の恋の物語、 「いかにもモーム」。
むかし英語で読んだ本をもう一度 日本語で読むとけっこういろいろ発見がある。
『手紙』 を読んだ。
さいしょは「手紙」だ。 クロスビー夫婦はマレーシアでプランテーションを経営していた。 その夜、夫はシンガポールにでかけ、 クロスビー夫人はひとりきりであった。 夜遅く、 隣りのゴム園の管理人、ジェフ・ハモンドが彼女を訪ずれた。 そして事件が起きた。
物語に手紙が登場する前と、 その後のクロスビー夫人の「アスペクト」 (ウィトゲンシュタイン)の変化 (読者の頭の中での変貌)が素晴しい。
つづいて「環境の力」だ。 ドリスは、ロンドンで、 マレーより一時帰国中の若者、ガイと出会い、 恋に落ち、結婚する。 そして二人はガイの荘園のあるマレーへと向かった。 マレーでの二人の生活がはじまる。 荘園までやって来て、 これ見よがしに悶着をおこす 一人の美しい現地人の女性がいた・・・。 下世話に書くと、 「この事件をきっかけに、 二人の仲は一気に悪化して、 とうとう破局をむかえることに・・・」となる。
この物語、 ぼくにはハッピーエンドに見えるのだが、 不謹慎だろうか・・・。
『若い女の死』 を読みおわった。 どうやったらこんなに上手に物語を語れるのだろう。 ある女が殺された。彼女についてまったく何もわからっていない。 そこから、 地道な捜査をつうじて、 彼女という女性にじょじょに肉体がやどっていく、 言ってみれば、それだけの単純な筋なのだ。 しかし、一回読み始めると、 もう止めることができなくなってしまう。 子どもたちが死体さがしにでかける、という 単純しごくなプロットだけで、 ぐいぐい読者をひきずっていく あのスティーブン・キングのような力だ。
もちろん、 あの不機嫌な警部ロニョン [--アメリカ人がパリで我が物顔で大暴れする回 (シムノン 2012) (『メグレと生死不明の男』)に登場していた、 あの陰気なロニョンだ--] という魅力的な登場人物が、 この本の魅力の大きな部分ではあるが。
就寝時のベッドの中の読書、 きょうは『高野聖』(泉鏡花)。 蛭の部分は噂に知ってはいたが、 「こわいもの見たさ」だ。
蛭の箇所は聞きしにまさる迫力でした。 体のそこら中が痒くなった。 そして、清流で体をあらったときの気持ち良さ、 もうこのままで。[--鏡花の文体のものまね--]
BBC のラジオドラマでたのしんだ クリスティの Towards Zero (本)を購入した。
最初に判事トレヴィスのエピソードからはじまる。 「あれ、ここで出てきちゃうと、もしかしたら殺されないのかも」・・・
次の章はマクワーターの紹介だ。 「ラジオドラマとちょっと違うけど、ま・こんなもんかな」
三番目ではバトル警視 (superintendent Battle) が登場する。 娘が学校で問題を起こしたので、 両親が学校に呼ばれるところだ。 「あ!」
すべて思い出した。既読です。 でも、楽しく再読できそうだ!
ラジオドラマが、 原作をどう変えたのか考えながら読み進めることとしたい。
リチャード・マシスンの 『太陽から三番目』 (マシスン 2021) を市立図書館(電子図書館)から借りた。 初期SFの頃の作家の短編集だ。
第1作は「モンスター誕生」 --- いい意味でも悪い意味でもSF初期の作品だ。 筒井康隆風。こわかった。 「魔女の戦争」もよく似たアイデアだ。
「白絹のドレス」は、 「モンスター誕生」と「魔女の戦争」を足して二で割ったような作品。 怖い! 「太陽から三番目」は初期SF風にありがちの ワンアイデアストーリー --- つまらない。 「ゴルゴタへの旅」はつまらない。 キリストもけっきょく新興宗教の山師、というはなしの方が よっぽでおもしろかったのだが。
「旅芝居の火星人」、うん。 不気味だ。 他のSFとはちと違っていると思う。
「異星の恋人クン」、 怖かった。ほんとうに怖かった。いちばん怖かった。 スティーブン・キングみたかった。
「我が家は宇宙船」、 途中で映画俳優への言及があるのがおもしろかった。 「ピーター・ローレ (Peter Lorre)のように不気味な」 管理人がでてくる。 調べてみた・・・「あ!あいつだ」。 ぼくがとても好きな役者だ。 『カサブランカ』にも、 『マルタの鷹』にもでてくる。 あの自信なさそうな男だ。 彼は、「不気味」とは全然違う雰囲気をかもしだしている。 ピーター・ローレのイメージは、むしろ、やはりぼくの大好きな俳優、 ジョン・カザーレと重なる。 『ゴッドファーザー』のアルパチーノの頼りないほうのお兄ちゃん、 『狼たちの午後』[--原題 Dog Day Afternoon の方がぴったり--] にでてくる アルパチーノ率いる銀行強盗団の中の足手纏いの男だ。 とくに『狼たちの午後』は泣いちゃう。
ストーリーはワンアイデアストーリーだ。 それもあまり面白くないアイデアだと思う。 [--SF初期のワンアイデアストーリーは、当時は、おもしろかったのだろうと思う--]
とは言え、総じて、とても楽しめるSF短編集だった。 ぼくは最近のSF(「ハードSF」は除く)はあまり楽しめない。 ぼくが好きなのは初期、黄金期あたりだ。