前の日 / 最新 / 2025-05

残日録 --- The Remains of the Day / 2025-05-12

2025-05
SMTWTFS
123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

2025-05-12 Mon

 『雨』(モーム)を読了---「雨」って、モームの数ある「恋愛もの」で唯一ロマンティックな落ちの物語かもしれない: [Book]

モームの『雨』  を読みおわった。 「雨」の筋は、もちろん、知っている。 それでも、ドキドキしながら読んだ。 ミス・トムソンの琴姫七変化みたいな変貌が楽しい。 ミストムソン役には1980年代のシンディー・ローパーがいいかな。

「ホノルル」。 「聡明な旅行者というものは想像だけの旅行をするものである」という 有名な書き出しの物語だ。 ホノルルで「わたし」が出会った 不細工な白人、バトラー船長と、 とても彼に似つかわしくない美しい原住民の娘、 原住民の航海士、無骨なバナナ。 「わたし」は彼らにまつわる恋物語を聞かされる。 落ちがたのしい。

「東洋航路」。 中年の女性、ハリスン夫人の物語。 物語は船が着いたシンガポールの楽しい描写から始まる。 --- 「マレー人、 これはここの土着の住民なのであるが、 おどおどしたように場末に住んでいて、 数も少ない。 街頭にむらがっているのは、調子のよい、すばしこくて 勤勉な中国人である。 色の黒いタミル人は、まるで他国にほんのしばらく 滞在している旅人みたいに、 ひっそりと裸足(はだし)で歩いているが、 瀟洒で裕福なベンガル人は、その環境のなかで楽々としており、 自信たっぷりである。 狡猾で人にとり入ることのうまい日本人は、 何か急な秘密の用件で忙しそうだ。」

ハリスン夫人は夫の浮気を機にマレーを出て、 イングランドに帰るところだった。

醒めることを分かっている中年の恋の物語、 「いかにもモーム」。

2025 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2024 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2023 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2022 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2021 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2020 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2019 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2018 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2017 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2016 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2015 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

最終更新時間: 2025-05-18 10:11

前の日 / 最新 / 2025-05