[Visit Website Floresa]
原題は: Transpuan di Sikka yang Dituding Menista Agama karena Kritik Korporasi Gereja Katolik Teken Kesepakatan Damai dengan Pelapor - Floresa。
リード文は: セセ・ゲリティングさん、5月30日に原告側と「和平声明」に署名。
先月紹介した 事件と密接に関連する出来事である。
以下、Sider による要約だ。
この報告は、NTT州のスィッカ県において、トランスジェンダーの女性(47歳)がカトリック教会所有の企業を批判したことによる一連の出来事を中心に展開している。最も重要な点は、彼女が誤解により告発され、最終的に「平和合意」により訴訟を解決したこと、またこの事件が宗教的シンボルへの攻撃と見なされたこと、そして土地紛争や移住問題と絡む現地の社会的・宗教的緊張の複雑さを浮き彫りにしていることである。
カトリック教会に属する会社が、 とある "Masyarakat Adat" の人々を強制的に立ち退かせたことから 始まった事件である。 そして、 難民となった人たちをトランスジェンダー (transpuan) の人たちが支える、 というのがこれまでの粗筋だ。 もともと教会とトランスジェンダーの対立ではない。 それが、 その隠れた対立が、そのようなものとして固定されてしまったのかもしれない。 まだまだ見ていく必要がある。
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原題は: Pemkab Manggarai Timur Tetapkan Gendang Colol sebagai Masyarakat Hukum Adat - Ekorantt.com (2025-05-23 付)
リード文は: この認定は、伝統的共同体の福祉向上と、文化的価値に即した持続可能な伝統的地域の管理を促進することが期待されています。
以下、Sider による要約: 東マンガライ県政府は、2025年5月20日にゲンダン・チョロル村の伝統社会を正式に「社会法的コミュニティ」(Masyarakat Hukum Adat: MHA)として認め、法的保護と地域資源の持続可能な管理を促進することを決定した。この認定は、長期間にわたる調査や住民の参加を経て行われ、地域文化や伝統的権利の尊重に基づいている。認定はまた、地域の社会的および経済的発展を支える手段として期待されている。
以上で要約終わり。
以下 【Satoshi Nakagawa】: 1980年代インドネシアのアダットの国家化 (わたしの論文、「インドネシア語政治作文入門」(中川 1994) を参照してください。)とも、 東ティモールで起きている「文化の復興」とも違う、 ある新しい流れがはじまっているようだ。
論文にするには、 まず、"masyarakat adat" の使い方の変遷をしらべることから始めなければいけない。 いまいち、やる気が起こらないのは、 ぼくの村にはあまり関係しないからだ。
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原題は: Komunitas Transpuan di Sikka Pertemukan Anak-Anak Nangahale dan Nangahure, Cara Tumbuhkan Empati dan Solidaritas Sejak Dini
Sider による要約は:
このドキュメントは、 インドネシアのフローレス島におけるナンガハレの土地紛争と、 その被害者である子どもたちのトラウマケア活動を中心に描いている。 コミュニティ団体 Fajar Sikka は、 土地強制立ち退きの影響を受けた子どもたちに対し、 共感や連帯感を育むための「トラウマヒーリング」や交流活動を実施しており、 孤立感を軽減させている。 一方、 土地の所有権を巡る長期的な対立や弾圧の過程も伝えられ、 地域の土地紛争とそれに伴う人権侵害の深刻さが浮き彫りとなっている。 この活動は、 被害者の心の癒しとコミュニティの連帯を促進する一方、 土地紛争の根深さと解決の難しさも明示している。
以上、要約おわり。
"Transpuan" はまったく知らない単語だった。 "Transgender" & "perempuan" (インドネシア語の女性)の portmanteau [--「かばん語」、ハンプティーダンプティーがつかった--] だという。
シッカ県(ぼくの調査地、エンデ県の東隣の県)のナンガハレ (Nangahale) の 事件は(もともとの事件も複雑であるが)かなり不思議な展開をみせている。 このブログでも紹介したが、 シッカ県のとあるカトリック教会に所属する会社が、 彼らの所有している土地(ナンガハレ)から、そこに住んでいる人々を 追い出したのである。 住民は、この土地はもともと彼らのものであり、 植民地時代に違法にとりあげられたものだ、というのである。
くわしくは、私のブログの こことか、 こことか、 ここ とかを見てほしい。
そして、難民となったナンガハレの住人の、 とりわけ子供達の心の傷を癒すために、 トランスジェンダーの女性たちが立ち上がった、という記事である。
《More . . .》[Visit Website Floresa]
先日紹介したが、 教会が フローレス島のシッカ県、ナンガハレで買った土地に 住んでいる住民を強制退去させた件。 Floresa 紙の報道は、もちろん、 「住民」(masyarakat adat) 寄りである。 この記事は、 裁判の教会側の弁護士によるもの (オピニオン)だ。 もちろん教会寄りの議論である。
リード文は: PTクリスラマの弁護士は、 フロレサの報道の一つ「シッカの4歳の子供のヒステリックな叫び声。 その母親はカトリック教会株式会社によってブイに引きずられた」に応えて書いた
内容はひたすら法律用語がならんでいる 長ったらしいものである。 「インドネシアは法治国家なのだから、すべて法によって 裁かれなければならい。 そして、法によればナンガハレの住人に分はなく、 協会側の言うとおりである」ということ。
あまりにテクニカルになったので、 よぉ分からないけど、 ポイントは、これらの法が植民地政府起源のものであることが、 大きな問題なのだと思う。
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原題は: Mengapa Jual Beli Tanah Ulayat di Manggarai Butuh Persetujuan Tua Adat?
リード文は 個人に分配された慣習的な土地、 すなわち「リンコ (lingko)」は、 私有財産として絶対的なものではない。
このまとめは面白い。
どうも、フローレス島の(かなりの場所で) 二種類の土地の所有形態が同時に使用されているようだ。 氏族所有(tanah ulayat)と個人所有だ。 ただし、(この記事の著者によれば、すくなくとも) マンガライ(フローレス島の西の部族)の「個人所有」は、 市場経済で言うところの「個人所有」ではないというのだ。
係争のポイントとなっているのはある企業による マンガライの「個人所有」の土地の購買である。 著者のポイントは、 市場経済的な購買プロセスだけでは、 この「個人所有」の土地が完全に企業の所有になってはいないというのだ。。
著者は人類学者かと思ったが、弁護士だった。
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原題は: Kontradiksi Gereja Katolik di Flores: Menolak Geotermal, Membiarkan Umat Terlantar di Nangahale リード文は: ナンガハレで犠牲者となった人々がいたにもかかわらず、 教会側の抑圧的な行動があり、 一部の人々が逮捕された;
記事では、 カトリック教会が (世界的に、そしてとりわけフローレス島で)環境問題に注意を払い、 乱暴な開発につねに異をとなえてきて、 そして、住民の味方であったことについて褒めることから 始めている。 [--Floresa は取材がしっかりしているだけでなく、文章の構成もうまい--] しかし、 フローレス島のシッカ県では、 事情は逆の様相を呈しているというのだ マウメレ教区が所有する会社、 クリスラマ社 (PT Krisrama) が、 この地の原住民 [--Douglas Lewis の調査地である Tana Ai も含まれれいるようだ--]と 対立関係にあるというのだ。 クリスラマが手に入れた土地は、 もともとこの地の住民のものであったと、 彼ら(住民たち)は主張しているのだ。 その土地を、オランダ植民地政府が奪い、 それを教会が受け継いだのだ、と。 この争いのなか、今年の 1月には ナンガハレ (Nangahale) の住民の 120軒の家が立ち退きを命ぜられたという。
《More . . .》[Visit Website Floresa]
原題は: Ini Baru Gembala yang Baik. Kami Tunggu Tindak Lanjut; Warga Flores-Lembata Bicara Surat Gembala Para Uskup yang Tolak Proyek Geotermal
NTT州 (エンデの人々の住むフローレス島が含まれる)と NTB州(スンバワ島など)とバリ州(もちろんバリ島)とで 一つの大きな教区となるようだ。 そこの司教たちが連名で地熱発電に反対する声明を発表したという。 地熱発電の現場、フローレス島・レンバータ島の人々は この声明を歓迎したという記事だ。 その一方、じっさいに地熱発電の行なわれる各県の司教から 立場表明がないことに、 人びとは不満を感じている、ということだ。 具体的にはマンガライ県の司教のことを指しているのだろう。
《More . . .》[Visit Website Berita Flores]
原題は: Respon Tuntutan Masa Aksi, Bupati Hery: ‘Tidak Ada Niat Hancurkan Alam, Apalagi Merusak Budaya Warga Poco Leok’
フローレス島マンガライ県 (Manggarai) で続く 地熱発電問題についての記事である。 [--"Berita Flores" という新聞の名前は、はじめて聞いた--]
県知事への抗議のデモがあったのであろう。 反応は良くもわるくも「とりあえず」のものである。 いずれ、 中央政府側につくか、 住民側(反地熱発電)につくかの態度決定を迫られるだろうな。 立場的には中央政府につくしかないのだろうが、 どうやってうまく立ち回れるだろうか。
以下 DeepL の翻訳
ヘリー県知事は、 快適な生活を妨げたり、 自然を破壊したり、 ましてや地域の文化を破壊したりする意図はまったくないと述べた。
もう一度強調しますが、 快適な生活を妨げたり、 自然や環境を破壊したり、 ましてやマンガライの文化を破壊したりする意図は一切ありません。
ヘリー県知事のこの主張は、 2025年3月3日月曜日、 マンガライ州知事事務所のヌカ・ラレ・ホールにおいて、 "ポコ・レオク・ユース"を代表する抗議者グループとの謁見の中でなされた。
謁見の中で、 抗議者の一人であるタデウス・スカルディ氏は、 地元の慣習の問題を提起し、 ポコ・レオク地熱プロジェクト建設のための立地決定 (ペンロック)に関する法令 (SK)を撤回するようヘリー県知事に求めた。
以上最初の数段落の翻訳。
あたらしい発展はないようだ。 もしかしたら、住民たちにとって、 地熱発電じしんは問題なく、 問題は場所なのかしらん。
《More . . .》[Visit Website Antara]
フローレス島の西マンガライ県にある ラブアンバジョのオーバー・ツーリズムの問題、 とりわけ土地問題については、 Floresa が執拗に報道しているし、 この Blog でも何度か紹介した。
ここに紹介するニュースは 全国紙 (Antara) によるものである。 私の記憶違いでなければ Antara は軍の機関紙だったと思う。 というわけで、 Floresa や VoxNTT などとは違い、 かなり政府寄りの記事となっていることを、最初に宣言しておく。 Floresa や VoxNTT では引用されるのは「住民」の言葉だが、 Antara では、基本的に政府の公式発表が引用される。
さて、記事の中身はというと・・・
東ヌサ・トゥンガラ州(NTT)西マンガライ(マバル)県政府は、 超優先目的地 (DSP)ラブアンバジョを訪れる 外国人観光客や国内観光客のための代替ツアーとなるよう、 多くの観光村を奨励しているというのだ。
記事から引用してみよう --- 「ラブアンバジョの観光は、 コモド国立公園 (TNK)地域の自然のアトラクションだけでなく、 その自然の美しさ、 文化や料理で劣らず魅力的な観光村があります」と 西マンガライノ創造的な経済と文化観光事務所 (Dinas Pariwisata Ekonomi Kreatif dan Kebudayaan、略して Disparekrafbud) ステファヌス Jemsifori は語った。
彼は、 ラブアンバジョのいくつかの観光村がそのような千の滝の村として知られている WaeLolos 観光村のような観光客の訪問を受け入れる準備ができていることを追加し、 Siru観光村は、 農業ベースの観光である Ngalor Kalo アグロツーリズムを持っています。
うんぬん、かんぬん・・・と続く。
さてさて、どうなることやら・・・
[Visit Website VoxNtt]
フローレス島の最西端、 ラブアンバジョ(西マンガライ県)のツーリズム(オーバー・ツーリズム)については、 何度もこの Blog で関連する記事(だいたいが Floresa による記事)を 紹介してきた。 (くわしくは、 このブログの "Flores" カテゴリーを見よ。) 今回は VoxNTT という配信社によるものだ。
基本的には、 ラブアンバジョでは、土地からちょっと目をはなすと、 土地マフィアの餌食になるという話だ。
リード文は次のとおり: 西マンガライ県ラブアンバジョの多くの住民が、 自分たちの私有地に遮断機が設置されたことを報告している。 この事件は、 コモド地区ラブアンバジョ村トロ・ベンベで発生した。 (Sejumlah warga di Labuan Bajo, Kabupaten Manggarai Barat, melaporkan adanya pemasangan portal di atas lahan mereka yang sudah bersertifikat. Peristiwa ini terjadi di Toro Bembe, Kelurahan Labuan Bajo, Kecamatan Komodo.)
冒頭の数パラグラフを翻訳してみよう(DeepL)。
住民の一人であるフランシスカス・スブールは、 遮断機の設置は土地マフィアが土地を「不法に」要求しようとする行為であると明かした。 フランシスカスをはじめとする土地所有者たちは、 自分たちの正当な土地へのアクセスが妨害されたことに激怒し、 2025年1月31日(金)に遮断機を解体した。 フランシスカス氏は、 彼らが所有する土地は公認のものであり、 以前の測定プロセスでは何の問題もなかったと強調した。 フランシスカス氏は、2025年2月1日(土)、 記者団に対し、 「私は2つの公認区画の土地を持っています」と述べた。 また、彼は、 住民に害を及ぼす土地マフィアの問題に取り組むため、 政府、特にプラボウォ・スビアント大統領に注意を払うよう求めた。
・・・というような状況だ。
土地マフィアは、もちろん、ジャカルタ(あるいはその他の遠隔にある大都市)の 企業と関連があるだろうから、 政治的にも非常に強い力をもっているだろう。 最初の頃こそ、問題は 企業による土地の(合法的な)買い占めだったのだが、 いまは悪党どもによる略奪となっているようだ。
アンナ・ツィン (Anna Tsing) は、 1993年に素晴しい民族誌を刊行した --- 『ダイヤモンドの女王の王国にて』 (In the Realm of the Diamond Queen)。 ところが、 2005年の本、 『フリクション』(Friction: An Ethnography of Global Connection) で描かれるボルネオはまったく違う様相を呈している。 ボルネオの山村は、 もはや牧歌的な「女王の王国」などではなく、 燕の巣をめぐって軍閥たちが抗争をくりかえす戦場なのだ。 女性ひとりが道を歩くのは危険きわまりない、 そのような殺伐とした場所となってしまったのである。
いま、ラブアンバジョが同じ道を辿りつつあるような気がしてしようがない。
単にラブアンバジョだけではない。 資源なき楽園だったフローレス島全体が、 「地熱」という新しく発見されが資源をきっかけに、 同じ道を辿ろうとしているようにも見える。
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原題は: JPIC-OFM ‘Tegak Lurus’ dengan Sikap Uskup Agung Ende, Desak Pemerintah Cabut Status Flores sebagai Pulau Geotermal
リード文は: Mendengar cerita dan keluh kesah umat mengenai dampak negatif proyek geotermal yang konkret dan kasat mata sudah cukup bagi seorang uskup untuk menyatakan sikap, kata JPIC-OFM --- 地熱事業の悪影響について、具体的で目に見える人々の話や苦情を聞くことは、司教が立ち上がるのに十分である、とJPIC-OFMは言う。
この記事は 2025-01-24 付けである。 先日紹介した記事(2025-01-16)の続報となるのだろう。 JPIC-OFM という組織はよく知らないのだが、 「それが大司教の意見に賛成をした」が記事になるのだから、 それなりに重要な組織なのかしらん。 ちなみに、 「"JPIC-OFM" とは、 Justice, Peace and Integrity of Creation --- Ordo Fratrum Minorum の略で、 擁護活動・社会慈善・エコロジーに重点を置くカトリック教会の活動分野である 」 (この記事内の文章)とのこと。
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原題は: Uskup Agung Ende Tolak Proyek Geotermal: Umat Berterima Kasih, Berharap Uskup Lain di Flores Nyatakan Sikap Serupa
リード文は: Tidak hanya menolak proyek yang diklaim bagian dari transisi energi ini, Uskup Budi juga meminta para imam membantu umat yang melakukan resistensi --- エネルギー転換の一環であると主張するこのプロジェクトを拒否するだけでなく、ブディ司教は、プロジェクトに抵抗している人々を助けるよう司祭に求めた。
フローレス島は、昔から Non-Profitable island と呼ばれてきた。 それがゆえに、幸運なことに、 植民地主義からも、また開発からも相手にされなかったのだ。 ここで、地熱が登場する。 火山島フローレス島は、 インドネシアの国家レベルで行われている地熱プロジェクトの対象地域となって しまったのである。
じっさいにプロジェクトが始動すると、 いくつかの場所で開発する側と住民との軋轢が起きた。 マンガライ(Manggarai)が拠点である(多分) ニュース会社、フローレッサ (Floresa) が 積極的にニュースを配信していた事については、 このブログでもしばしば紹介している 2024-10-05 や、 2024-06-08 を見よ。
今回のニュースの焦点は、 いよいよカトリック教会が地熱発電の論争にのりこんできたという事である。 なお、フローレス島は住民の70%がカトリック教徒である。 エンデの大司教 (Uskup Agung/Archibishop) が、 正式に地熱発電への反対議論を展開したのである。
フローレッサ (Floresa) の指摘によると、 マンガライの司教 (Uskup/Bishop) は、 すでに政府に「地熱発電プロジェクトを支持する」という手紙を 送っているという。 面白いのは、 フローレッサ (Floresa) の住民へのインタビューだ。 インタビューを受けた住民は、 マンガライの司教を(あるいはエンデの大司教を)糾弾するのではなく、 冷静にそれぞれの立場を指摘している。 彼によれば、 マンガライの司教は「開発」を立ち位置としているのに対し、 そしてエンデの大司教は「環境」をその立ち位置としているのだ、と言うのである。
毎回書くことだが、 Floresa の記事は、 きちんとした調査に基づいており、また 多くの人々とのインタビューに基づくものであり、 ほんとうに素晴しい。