2024-11-16 に開催される KAPAL(インドネシア研究懇話会)の 研究大会で発表する原稿を作成している。 もともとは、 2016年7月にジャカルタのインドネシア大学で開催された ジム・フォックスの業績を記念する大会で発表した "Between Precedence and Hierarchy" を翻訳して発表する予定だった。
そこではジムの業績の1つ、 「先行」("Precedence") をとりあげた。 それを (ルイ・デュモンの)「階層」("hierarchy") と対比したのは、 (ジムのもと学生の一人)グレッグ・アチアイオリである。 ぼくは 1992年の本 『交換の民族誌』で、 「属性的分類」と 「関係的分類」という二つの分析概念を提出したことがある。 2016年の発表ではこの四つ (先行、階層、属性的、関係的分類)を使いながら、 フローレス島のエンデの民族誌を整理する、という作業をした。
これはこれで「記念論文集 (Festschrift)」向けの書き方でよかったと 思う。
さて、 その発表を KAPAL 用に翻訳しているうちに、 2016年版の筋は必要以上に複雑だ・・・ということに気がついた。
というわけで、 ここ数日、「先行」・「階層」を KAPAL 発表の議論から削除する作業をしていた。
ところが、 削除してしまうと、それはそれで不自然な議論の運びになっていることに 気がついた。
さて・・・どうしよう・・・
今日一日頭をかかえてしまった。
7月に ICAS-13 という国際会議がインドネシアのスラバヤであった。 インドネシアに出発する前につくった mp4 動画を youtube にアップした --- ここ だ。
ICAS-13@スラバヤで発表する原稿がどうやら形がついた。 ここで HTML 版がみれます。
7月29日にスラバヤ開催の ICAS (International Conventions of Asian Scholars) で 発表する予定の原稿、 Crossroads of Legitimacy and Illegetimacy (Web) をかなり書き進んだ。 今回は理論はほぼゼロ、 ひたすら民族誌を紹介するだけ。
書き始めたばかりだが、 ここにアップしてある。
題名は『千の唇、百の舌』である --- これは、エンデの言い回し wiwi riwu // rhema ngasu の直訳である。 エンデにおいてたいていの場合、 あなたを襲う突然の不幸は妖術 (witchcraft) のせいだと言われる。 あなたが成功したことを、 妖術師 (ata porho) が妬み、 あなたを襲う(tau)のである。 今回の発表でとりあげるのは、 そのバリエーションとも言える考え方だ。 妖術の文脈では、 妖術師こそがあなたの不幸をもたらした主体である。 ところが「千の唇」シナリオの中にはっきりした主体はない。 不幸をもたらしたのは、 噂話なのだ。 まさに、「千の唇、百の舌」が不幸をもたらしたのである。
この状況は、 近年のいじめについて別役実が 『ベケットといじめ』で指摘した構造、 「無記名性の悪意」と正確に重なる。
以上を出発点にして、 物語をつむいでみたい。 1つのバージョンは 贈与の社会は理想的な社会ではないよ、という 結論にいたる話、 もう1つは、 コミュニケーションの基礎は 規約か意図かの議論に貢献するような筋である。 どっちになるかはまだわからない。
論文集は民族誌篇と理論篇にわけて刊行する予定です。 まずは 民族誌篇 を刊行します。 ここに目次があります。
民族誌篇のディレクトリには 82 のファイルがあります。 そのうち 50 ほどが刊行できそうだと思います。 とりあえず、 退職後(COVID-19 後)の 東南アジア学会(1ヶ)と KAPAL (インドネシア研究懇話会)での発表(3ヶ)を 公開しました。
序文は ここ にあります。
なお、本の PDF は ここ (直接リンク)にあります。
わたしの約30年の教員生活の中で つくりあげた講義録(その他)をすべて オンラインで刊行していく予定です。 手元にあるファイルを表にしました --- 大阪国際大学時代が4つ(その内2つが書籍として出版)、 阪大時代が19ありました(その内1つが書籍として出版)。 (合計23)。 それらすべてをリストにして わたしの github pages に アップロードしました。 紙の本として刊行されている3つをのぞいて、 残り20の講義をすべてオンラインで刊行していく予定です。
現在6ヶがオンラインで公開されています。 さきほどのリストには それぞれのエントリーに1つ "[目次] " という ボタンが用意されています。 それらのうちの6ヶがクリッカブルに(青く)なっています。 sそれをクリックすると、 目的の本の目次に到達します。 オンラインで読むこともできますし (HTML)、 ダウンロードすることもできます (EPUB/PDF)。
完成版をアップロードすると時間がかかり過ぎますので、 未完成のバージョンがアップロードされています。 すなわち、頻繁にバージョンアップがされる、ということです。 大きなバージョンアップがあった場合には、 このブログ、 そして mastodon (@merapano@mastodon.social)および bluesky (@merapano.bsky.social) で 告知いたします。
ある程度完成したところで バージョンアップをフリーズして、 アップロードする場所を leanpub (https://leanpub.com) に移行します。 この段階では、 各講義録は有料で販売されることになります。
2015年に吹田で行なった授業、 『異文化の見つけ方 --- 相対主義の可能性』、 および翌年(2016年)の続編 『異文化の遊び方 --- 引用と人生』 です。 二つの講義にはかなり自信があったのですが、 ざんねんながらどの出版社からも積極的な反応はありませんでした。 自費出版とします。
なお、中川の個人史を述べておくと: この二つの授業で相対主義の人類学/ 構造主義の人類学にいったんピリオドを打ちます。 2017年からは「自然主義転回」にとりかかります。 これらの相対主義・構造主義に、 自然主義の考えを対立させていこうというプロジェクトです。 2018年に『模型論』、 2019年に『呪物論』を展開しました。
なお、蛇足ですが、2019年は私の退職の年です。
豊中キャンパスで 1年生、2年生を対象に パンキョウ(一般教養)をほぼ毎年担当してきました。 基本的に同じ内容の授業で、 毎年バージョンアップをしていました。 2008年くらいまでは『科学の人類学』というテーマで 授業をしてきました。 それが『言語ゲームが世界を創る』(世界思想社)として 刊行されたのをきっかけに、 まったく新しいテーマに切り替えました。 たぶん2009年だと思います。 それ以来いくつかのテーマを取り上げましたが、 最初にとりあげたのが経済と交換です。 わたしの『交換の民族誌』(世界思想社)の続編として 構想したものです。 筋を何度も練り直したのですが、 いまだにもっとも良いストーリーを見つけることが できていません。 ここ からアクセスできます。 仮題を『開発の民族誌』としておきます。
先日公開した講義録の第1弾、 『環境主義と人類学(仮題)』 (environment) に、 全体の構成を示した章、 『序』 (intro) を書いてアップロードした。
バージョンを(v0.1.0 から)v0.1.1 とした。
私がはじめて授業をした時 (1988) に作った講義ノート、 『セックスとジェンダー』 (sex_and_gender)を 公開します。 公開するような内容ではないのですが (「出版」については考えていなかったので、 自分の文章と引用とが区別できないという大欠陥がある)、 オンライン出版の流れを説明する材料として使おうと思います。
バージョンは v0.1.0 です。
講義録のオンライン出版は 3つの段階(場所)からなっている。 以下の通りだ: (1) わたしの 私設ウェブ (www.merapano.net)、 (2) わたしの github-pages (merapano.github.io)、 そして最後に (3) leanpub を通じての出版である。
いくつかの例外はあるが、 ほとんどの講義録の License は Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives 4.0 International CC BY-NC-ND 4.0 である。
(1) 一つの講義録が最低限の形をなしたら、 私設ウェブ (www.merapano.net) で公開する。 形式は章ごとの html となる。 現在のところ、 『環境主義と人類学』、 および 『セックスとジェンダー』 の 二つの講義録が、 私設ウェブ上で公開されている。 なお、 バージョンは v0.1.0 から始まる。 ローカルでの細かい改善はすぐに公開版に反映させ、 改善の程度に応じてバージョン番号を増やしていく --- v0.1.0 から v0.1.1 など。 「ファーストドラフト」と呼べるようになった時点で、 バージョン番号を v1.0.0 として、 つぎの段階(2)に進む。 できればこの段階の原稿の引用は控えていただきたい。
(2) 「ファーストドラフト」としてのバージョン (v1.0.0) は わたしの github-pages で公開する。 この段階では章ごとにばらばらではなく、 すべてをまとめて本として(epub そして pdf として) アップロードする。 この段階に達した講義録はまだないが、 試供品として、 『セックスとジェンダー』をアップしておく。 epub は こちら(直接リンク)で、 pdf は こちら(直接リンク)である。 原稿の引用は、この段階からお願いしたい。 ページ数が必要な引用に関しては PDF バージョンを 使用していただきたい。 (なお github-pages に公開済および公開予定の 全講義録のインデックスは 現在 作成中である) なお、この段階になっても (1) の私設ウェブでの公開 (HTML) は 続いており、 細かいバージョンアップは主に HTML に対して行われる。 HTML のバージョンアップがある程度まとまった時に github-pages 版のバージョンアップを行なう。 バージョン番号は、例えば、 v1.0.0 から v.1.0.1 へとあがる (mastodon および bluesky を通じて速報を流す)。 バージョン番号が v1.1.0 になれば 次の段階 (leanpub) へ進むこととなる。
(3) ほぼ完成した原稿は v1.1.0 として leanpub に発表する。 この段階ではほとんどバージョンアップの作業はしない。