[Visit Website The Sydney Morning Herald]
原題は:‘You know we are going to kill you’: Ex-priest’s chilling threat to lawyer
先日 (2021-05-23) クリップした、 ティモール・レステ(東ティモール)共和国の神父をめぐる 児童虐待の事件の続報である。 前回紹介した記事は、 訴えをおこした女性たちへ社会的なプレッシャーがあることを述べた 記事なのだが、 こんどは弁護士への神父からの直接的な脅迫である。
・・・ふぅ・・・。
[Visit Website The Guardian]
原題は ‘A ticking time bomb’: Timor-Leste begins to reckon with alleged Catholic church sex abuse だ。
オエクシ (Oecusse) (ティモール・レステ共和国のティモール島西部の飛び地) での話だ。 リタという若い女性が 彼女の幼少時の体験を 語るという形で 記事ははじまる。 1990年代、孤児となったリタは Richard Daschbach 神父(「ダッシュバッハ」と読んでおこう) (ちなみに神言会 [--ぼくの調査地、フローレス島で活躍する修道会だ--] だ)の経営する孤児院にひきとられた。 そこでは毎晩、女の子がとっかえひっかえ 神父の夜の伽を命ぜられるのだという。 もちろんリタもそうさせられた。 どの娘も怖くて声を挙げることができなかった。 ましてや、東ティモールにおける 教会の権威・力を考えると、 小さな少女たちに出来ることは何もなかった。
彼女たちは大きくなり、時代もかわった。 やっとリタたちはカトリック教会の上位者たちに 神父の罪業を訴えることができるようになった。 綿密な調査の上、カトリック教会は ダッシュバッハを神父失格とした。 しかし教会はその罪を公にしなかたので、 ダッシュバッハは普通に生活ができた。 さらに追求をしようとする女性たちをさえぎったのは、 第一に同じ孤児院にいた男性たちだったという。 彼らは、ダッシュバッハを訴えようとする女性たちを 暴力で脅した。 さらに大きな障害は、じつは、 ティモール・レステ共和国の社会そのものなのだ。 東ティモールの人々はカトリック教会に多くを負うている --- インドネシア政府の暴力から、 人々をまもったのは、ただ教会だけだったのだ。 カトリック教会は、いわば、絶対の善なのだ。
ぼくの調査地である(インドネシアの) フローレス島、エンデでは、 カトリック教会は、たしかに、尊敬されてはいるのだが、 それは絶対的な権威ではない。 教会は、ある時は、 植民地主義のなごりとしても見られるし (村の人の間では、この見方は稀であるが)、 「巨大な妖術師」として見られることもある --- 教会の背後には、 ある種の闇がそこにあることを人々は感じているのだ。 東ティモールはそうではない。 カトリック教会に、 闇などは(すくなくとも今迄は)考えられないのだ。 連行されるもと神父を、 独立の英雄、 シャナーナ・グスマオが励ましている写真がある。
リタたちは、はたして、 戦いを続けることができるだろうか・・・。
[Visit Website The Jakarta Post]
原題は:Timor Leste reports first fatality from COVID-19。
オーストラリア発のポッドキャストを聞いていた。 そのうちの一つが 「東ティモールがたいへん」というニュースだった。 サイクロ・セロージャ (Seroja) のニュースだろうと思って聞いていたら、 ちがった --- COVID-19 のニュースだったんだ。 ティモール・レステ共和国は「感染者数ほとんどゼロ」をずっと 続けていたので (ここ参照)、 とてもびっくりした。 どうやら 3月にはいって突然感染者が増えたらしい。 現在のは感染者数は 766名(うち回復が294名)だ。 東ティモールの医療システムは、おそらく脆弱きわまりないだろう --- ワクチンが間に合えばいいのだが・・・。 先日のサイクロンは、いわば泣きっ面にハチだったんだ。
太平洋のほとんどのマイクロ国家が、ティモール・レステ共和国同様に 「ほとんどゼロ」を続けていたことを思いだした あわててウェブをチェックしてみた。 バヌアツは「ほとんどゼロ」 [--正確には感染者3名、死者ゼロ--] を続けていたので、 ちょっと安心。
[Visit Website Pos Kupang]
原題は Timor Leste Pecah Rekor Dunia, Berhasil Tangani Pandemi Covid-19? Berikut Fakta yangTerjadi --- ポス・クパンの記事だ。 現在感染者ゼロの国が7つある、 ティモール・レステ共和国がその内の一つだという記事である。 記事の著者(インドネシア人)は 素直に驚いているようだ(数字に疑義を呈す、とかはしていない)。 なお、 ティモール島の中の国境付近の(インドネシア側の)三つの県は数字は次の通りだ: TTS 県では治療中が7名(感染者累計は 32名)、 TTU 県では 1名(6名)、そして ベル県では 3名(63名)である。 こちらもかなり小さな数字だ。
無能無策の日本があのくらいの数字でおさまっているのが 不思議でしょうがないが、 医療システムが脆弱きわまりない ティモール・レステ共和国やインドネシアのNTT州の 数字が小さいのも不思議である。
[Visit Website Pursuit]
原題は HOW TIMOR-LESTE HAS MOBILISED AGAINST COVID-19 --- メルボルン大学のページだ。
東ティモールの現在の感染者はゼロである。 これはすばらしい数字だ。 「しかし」と記事は続く。 問題は、もちろん、これからだ、と。
東ティモールは3月には国境を閉じている。 最も影響を受けたのは海外に取り残された 留学生だった --- 政府はきちんとかれらをサポートしていたという。 (日本ではどうだったんだろう?) インドネシアとの国境の警備も厳格だった。 5月末の時点で東ティモールの感染者は24名だった --- ほとんどがインドネシアから帰国した留学生だったという。 現在、その人たちの治療も完了している。
この記事のいいところは「村の生活」について 触れているところだ。 ぼくの調査しているフローレス島(インドネシアの NTT州)もそうだが、 この辺では都市部と村落部とはまるで外国のように違うのだ。 ニュースは都市部からだけであり、 村落部がいまどんな状況なのかがまったく分からないのだ。 さて、この記事によると、 いささか紋切り型の言い方をすれば、 村では伝統的な対策と近代的な対策が行なわれているという。 長老たちは儀礼を行ない、先祖にうかがいをたてるという 形で この非常時に対応している。 同時に、ひとびとはデジタル技術で情報を収集しているというのだ。 それなりに豊かな国の西部では生活は さほど変化していないという。 村人はCOVID-19より、むしろ、雨が気がかりだという。
そして、7月の初旬には感染者がゼロになり、 国際便が(週に1便)再開されることになった。 これ迄は東ティモールは、コロナ禍にうまく対処してきたと 言えるだろう。 しかし問題はこれからである。 とりわけ 精神的な側面が大事である、と 記事は結ぶ。
[Visit Website NTT Online News] ベトゥン(NTT州マラカ県)で仕事をしていた二人の 学校関係者がいた。 休みをとれたので、ティモール・レステのディリに 行くことにした。 一日目、 レシデレのホテルで休んでいると、とつぜん プレマン[--暴力団のようなもの。--] の格好をした男たちがはいってきて 彼らのパスポートをとり挙げた。 警察だという。 翌日、 警察は彼ら二人をバトゥ・グデ(国境)まで 連れていった。 パスポートはそこにおいて二人に返却された。
というニュースだ。
《More . . .》[Visit Website Pos Kupang] ティモール・レステ (東ティモール共和国)はティモール島の東半分を 占めるが、 ティモール島西部の北海岸に オエクシ (Oecusse)という飛び地の領土も存在する。 オエクシはまわりをインドネシアに囲まれているのだ。 旧王国の名前で言うと、 西にアンフォアン王国、南から東にかけて ミオマッフォ (Miamafo)王国と国境を接していることに なる。 ちなみに、旧王国名を使えば、 オエクシはアンベヌ王国となる。
Pos Kupan 紙のこの 記事のタイトルを直訳すれば、 「アンフォアンの王はティモール・レステとの戦争で 臣民を率いる準備ができている」となる。
記事を訳していこう。
アンフォアンの王ロビー・マノ (Robby Manoh) は つぎのように語った: もしナクトゥカ (Naktuka) の一部の併合をめぐる 問題がこのまま続くならば、 わたしはアンフォアンの民を率いて アンベヌ王国と戦争をする準備ができている、と。
「もしインドネシア国軍が、 ティモール・レステによるナクトゥカの 併合を阻止できないのならば、 わたし自身がアンフォアンの臣民を率いて アンベヌと戦争を行なうしかないだろう」と 電話での記者との会談で、 アンフォアンの王は語った。
この脅威については、2015年に自分自身が ナクトゥカを訪れた後、 すでにクパン駐留の軍に対して報告は行っている、 と王は結んだ。
以上が記事のほぼ全訳である。
オエクシでの国境紛争としては、2013年の こんな記事をクリップしたこともある。 この事件(ナイベヌ郡)は 東側の国境(王国で言うとミオマッフォ王国)で、 今回のは西側の国境である。
TTS(ティモール中央南部県)に比べて TTU(ティモール中央北部県)は伝統が根強く残ってい ると聞いてはいたが、 王がこんな発言をする/できるとは、 驚いた。
[Visit Website Pos Kupang] NTT州国境管理局 (Badan Pengelola Perbatasan)の長の言葉である。 「開発」というのは、 道路の整備、国境のゲートでのチェックの強化、 そして住民の経済的なエンパワーメントなどである。 そして「問題」というのは、 「ねずみの道」(国境を超える非正規な道)を 使っての密輸、 とりわけ麻薬の密輸であるという。
《More . . .》[Visit Website Viet Nam News] ドンソン様式のドラムがティモール・レステの バウカウのそばで見つかったという。 紀元前700年から紀元100年くらいの間のものらしい。 ニュースもとは "Viet Nam News"。