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2-1 二つのコンベンション

社会が生まれるとき

2013-10-29 16:32

中川 敏

私を組立てると同じ理由が
この世界をも組立ててゐる。
この世界の皆を組立ててゐる。
---
金子光晴『赤土の家・海の言葉』


1 第2部の序文
1.1 第1部
1.2 第2部

2 序
2.1 ポイントとキーワード

3 個人が社会になるとき
3.1 魔法の瞬間をめぐって
3.2 還元論
3.3 全体論
3.4 まとめ

4 見掛けと本質---力と歴史
4.1 創発主義は歴史にかかわらない
4.2 主観的体験としての創発主義

5 まとめと展望

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1. 第2部の序文

金子光晴が言うように、 「私」と「世界」は同じ構造をとっているのだ。 これが第1部の心の理論と 第2部の社会の理論との関係である。

1.1 第1部

・・・・・ 【工事中】 ・・・・・

1.2 第2部

2. 序

2.1 ポイントとキーワード

前章「魔法の瞬間」は、 心の議論を二種類に分けた--- 還元論と全体論である。 この章は社会の議論を同じく 二つに分類して概観する。 還元論と全体論である。

この二つが「どちらが正しいか」という 問題を提起しているのではなく、 むしろ分析者の立ち位置によるのだ、というのが 結論である。

3. 個人が社会になるとき

3.1 魔法の瞬間をめぐって

デネットの言う「魔法の瞬間」とは 言わばモノが者になる瞬間のことである。 ・・・・・ 【工事中】 ・・・・・

その他にも多数の「魔法の瞬間」が考え得る。 とりわけ社会的なコトに関する・・・・・ 【工事中】 ・・・・・ ・・・・・ 【組織、お金、言語、道徳、社会→テスト】 ・・・・・

還元主義創発主義
お金じょじょとつぜん
言語じょじょとつぜん
道徳じょじょとつぜん

3.1.1 タルドとデュルケム

どうでもいいが社会学でも ・・・・・ 【工事中】 ・・・・・

タルドデュルケム
個人しかない社会が存在す る
---社会はモノのようなもので ある

3.1.2 還元と創発

大きく二つに分かれる--- 心の場合と同じく 「還元主義」と「創発主義」と名付けることが 可能だろう。 ・・・・・ 【工事中】 ・・・・・

還元主義は・・・・・ 【工事中】 ・・・・・

一方、 創発主義は・・・・・ 【工事中】 ・・・・・

・・・・・ 【工事中】 ・・・・・

3.1.3 二つのコンベンション

・・・・・ 【黙約と規約】 ・・・・・

本質的ではないことなのだが (いや、もしかしたら本質的なのかもしれない)、 この二つの主義が、 それぞれ違った意味で一つの言葉を そのキーワードとしているのだ。 それがコンベンション (convention) である。

グッドマンは言う---

The terms “convention” and “conventional” are flagrantly and intricately ambiguous. On the one hand, the conventional is the ordinary, the usual, the traditional, the orthodox as against the novel, the deviant, the unexpected, the heterodox. On the other hand, the conventional is the artificial, the invented, the optional, as against the natural, the fundamental, the mandatory [goodman-just-the-facts: 80]

・・・・・ 【工事中】 ・・・・・

3.2 還元論

3.2.1 ヒューム---功利主義

ヒュームのコンベンションは 次のようなものである。

『人間本性論』 (A treatise of human nature) (『人性論』1739年) [hume-treatise]の中で 彼はつぎのように言う:

「全員が、協調によって、共通の利益のために計算 されたある行動の仕組みに加わり、自分の言葉を忠 実に守ることに同意する。この協調ないし合意 [concert or convention] を形成するのに必要なの はただ、各人が、契約事項を誠実に実行することに 利益を感じ、その感じを社会の他の成員に向かって 表出することだけである。」(T522f.)

(the Enquiry Concerning Human Understanding)『人間知性研究』 (『人間悟性論』) [hume-enquiry]
[A convention is] a sense of common interest; which sense each man feels in his own breast, which he remarks in his fellows, and which carries him, in concurrence with others into a general plan or system of actions, which tends to public utility (p. 257).

この箇所でヒュームは ボートの漕ぎ手の比喩を使う。 これは、 ドーキンスの好みそうな比喩である。 Hume illustrates his approach with the memorable example of two men sitting in a row-boat. In order to move at all, they must synchronize their rowing, which they do without any explicit agreement.

言語について次のように言う--- David Hume mentions both examples in the Treatise of Human Nature (p. 490): [L]anguages [are] gradually establish'd by human conventions without any explicit promise. In like manner do gold and silver become the common measures of exchange, and are esteem'd sufficient payment for what is of a hundred times their value.

3.2.2 ミル---功利主義

ヒュームの議論を発展させた ミルの功利主義である。

ミルの約束の議論を見てみよう ・・・・・ 【ミルの約束】 ・・・・・

・・・・・ 【フリーライド、評判の低下、社会生活の不利】 ・・・・・

3.2.3 ルイス---ゲーム理論

ルイス [lewis.dk-69b]は、 ヒュームの黙約の議論を、 ゲーム理論 (とりわけ調整 coordination の問題)を 使用することによって、 洗練させた。 ・・・・・ 【工事中】 ・・・・・

メイナード=スミスの 『進化とゲーム理論』 [maynard-smith-game-j]は ゲーム理論を使って、 進化のメカニズムを解明する仕事である。 ESS(進化的に安定な戦略) [Evolutionarily Stable Strategy] も均衡である。

限られた資源のある 空間と、 そこに住まう生物を考えよう。 ・・・・・ 【工事中】 ・・・・・

タカハト報復
タカ-12-1
ハト010.9
報復-11.11

3.3 全体論

3.3.1 ホッブズ---社会契約論

ヒュームが反対しているのは ホッブズ的な考えかたである。 [hobbes-leviathan-j]

In both the Treatise and “Of the Original Contract,” Hume rejects a Hobbesian conception of government as arising from the state of nature through a social contract. Hume offers various criticisms, but a particularly fundamental objection is that Hobbes adopts a misguided order of explanation. Hobbes explains government as the result of phenomena, such as promising or contracting, that themselves rest upon convention and hence could not arise in a pure state of nature. Hume contends that promising and government arise independently, albeit in the same basic way and from the same basic source: convention.

(脚注: 6. David Gauthier (1979) argues that Hume's own theory of government is a species of “hypothetical contractarianism,” of the kind made famous by John Rawls.)

契約のための会議を考えると、 会議は convene されるものなのだ。 ・・・・・ 【工事中】 ・・・・・

3.3.2 掟としての規則

「約束」について 考えてみよう。 還元主義的な約束の発生の物語を復習して おこう。

この議論に対して、 ・・・・・ 【義憤、責任、道徳】 ・・・・・

黒田の規範議論を引用してみよう

ここで「規範」と呼ぶのは、 たんに規則であるばかりでなく 「掟 [おきて]」と いう性格をもった規則、 社会的な圧力によって維持さ れる規則のことである。 [kuroda-kihan: 22]

3.4 まとめ

還元主義創発主義
社会社会はない社会は存在する
個人のみがある(唯名論)個人もある、社会もある(実在論)
ヒュームホッブズ
黙約 (convention)契約 (contract)[convene/convention]
対岸にボートを漕ぐ社会契約
言語、約束、道徳も個人間の「あ・うん」の呼吸で 生まれる個人を越えて存在する
ルイスオースティン、サール
黙約 (convention)規約 (convention)
ゲーム理論(調整問題)発話内の力
世界を変える(「アウト!」「有罪とする」「名づける」「約束する」)
約束の発生約束の力
ミルカント
道徳は共通の利害のなかに生まれる定言的
責任
自然主義の誤謬←ムーア
事実と価値を混同した事実と価値を区別する
プラグマティズムの哲学
事実と価値の区別はない事実と価値を区別した
cf知識と意見知識と意見
存在論認識論
タルドデュルケム
社会はモノである
レヴィ=ストロース
発生にこだわる歴史にこだわらない
じょじょいっき
世界は一気に意味あるものとなった
本質見掛け
存在論認識論
パターンは?存在しない存在する
サイバネティクス、複雑系、オートポイエシス?サイバネティクス、複雑系、オートポイエシス?
表 社会の実在論

・・・・・ 【自然主義の誤謬】 ・・・・・

4. 見掛けと本質---力と歴史

直前の節の最後に、 創発主義は歴史に関わらないと 私は宣言した。 ・・・・・ 【工事中】 ・・・・・

4.1 創発主義は歴史にかかわらない

・・・・・ 【還元主義の強さは歴史だ。】 ・・・・・

創発主義は 歴史には関わらない。

レヴィ=ストロースは次のように言う--- [ls-87] 世界は突然意味をもつ

4.2 主観的体験としての創発主義

サールは 主観的体験としての 創発を擁護した。

還元主義者は「熱は分子の運動だ」と言う。 それに対して、創発主義者は 「熱の主観的体験が問題なのだ」と言うのだ。 心の還元主義者は「心はニューロンの配列だ」と 言い、 創発主義者は「心の主観的体験が問題なのだ」 と主張する [searle-reductionism]。 そして タルドは「社会は個人の積み重ねだ」と言い、 デュルケムは「社会はモノとしてある」と主張す る。 ヒュームとミルは「道徳は功利の積み重ねだ」と 言い、 カントは「道徳はそこにある」と言うのだ。

・・・・・ 【サール:何を解明したいのか?の問題 だ】 ・・・・・

【蛇足】 ・・・・・ 【還元論は常識。まじめに取り組んだのが デネット。】 ・・・・・ ・・・・・ 【全体論は 創発---ルーマンのシステム論、 オートポイエシス、】 ・・・・・

・・・・・ 【サールの議論】 ・・・・・

5. まとめと展望

還元主義と創発主義の対立は、 歴史と力の対立であると言えよう。


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Bibliography

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ENDNOTES