根幹から枯れ枝へ
2025-11-04
自由研究発表、および会員企画によるパネル報告それぞれの報告者を募集します。ふるってご応募ください。
なお、前回大会で新たに設けた Open SEA(ライトニング・トークおよびポスター発表)についても募集いたしますが、こちらは別途ご案内いたします。
「自由研究発表応募フォーム」よりお申込みください。なお、発表者は会員に限ります。記入項目は下記(1)~(5)です。
締め切りは2025年9月13日(土)必着です。
自由研究発表応募用フォーム: ここ
記入項目
「パネル企画応募フォーム」よりお申込みください。なお、企画代表者は会員に限ります。記入項目は下記(1)~(5)です。締め切りは2025年9月13日(土)必着です。
パネル企画応募フォーム: ここ
記入項目
上記1,2いずれも、締め切り後に大会理事・委員で採否を検討し、理事会での承認を経て、9月下旬頃に応募者各人にメールで採否の結果をお知らせします。
【返信用アドレス】 conf31-sea[at]ml.rikkyo.ac.jp
※Googleフォーム、電子メール等が使えない場合は、記入項目を不足なく書き記したうえで、「東南アジア学会2025年研究大会報告申込書」と朱書して、以下に郵送してください。
題名:“「根幹から枯れ枝へ」”
副題:東インドネシア、エンデにおける「生命の流れ」論
Title: From All Embracing Trunk to fragile dried twig
Subtitle: Idea of Flow of Life among the Ende, eastern Indonesia
戦後の東インドネシア研究の嚆矢となったフォックス(編)による論文集、『生命の流れ』(Fox (ed) 1980) において、編者フォックスは東インドネシアという民族誌領域の特徴をいくつか挙げている。その内彼がもっとも強調するのが「生命の流れ」という考え方である。この地域では、婚姻にともなう女性の流れが生命の流れとしてとらえられているというのである。今回の発表では、エンデ人における生命の流れについて述べる。エンデの生命の流れには、他の地域に見られない特徴が二つある。一つは女性の流れが財の流れと表裏一体になっていることであり、もう一つは、常に複数の生命の流れが考慮されているということだ。具体的には、ある男性は確かに母の出生集団こそを源とするのだが、同時に父の源(FMB)をも継承するのである。具体的事例をとおしながら、この複雑なシステムの作動の様子を分析したい。
比較の領域としての東インドネシア(van Wouden 1935)の最も重要な特徴は、民俗理念型としての母方交叉イトコ婚に基づく三分法、すなわち、自己のグループ (OG)、およびそのワイフ・ギバー (WG) とワイフ・テイカー (WT) という三分法が社会の基本となっている点である。三分法の根底にあるのは WG/WT 関係である。フォックス (1980) は、東インドネシアのさまざまな民族誌に基づいて、 WG/WT の関係を「生命の流れ」として捉えなおした。生命が WG から WT へと流れるのである。後の論文で、フォックスは、これまで「ワイフ・ギバー」と訳されていた語を、それぞれの民族誌の中で読み直すことで、 “Progenitor” と訳すことを提案している (Fox 2006)。ある集団にとっての WG (集団)はラインをなしているのだ;そのラインは世代を越えて当該の集団を「生成」しているのである。
以上の背景のもとに、エンデの民族誌を見ていく。エンデにおいてもファン・ワウデンの言う三分法、あるいは基本となる関係、WG/WT 関係が見られる。しかし、いくつかの点で WG に関して、「不自然な」民族誌的事実が存在する。その一つが「男(父)の背中」と呼ばれる WG である。説明しよう。エンデでは自己のグループ(OG)を規定する WG に二種類あるのだ。確かに、ファン・ワウデンも、またフォックスも、東インドネシアに時おり(ロティ、ケマック、マンバイなどに)みられる OG を規定する二種類の WG について述べている。 WG (代表例として MB を挙げられよう)と、 WG の WG (MB の MB、すなわち MMB)である。 MMB が「生命」を MB に与え、その MB が「生命」を「わたしたち」(OG) にあたえるのだ。二つの WG は言わば「(生命の)ライン」をなしているのである。自然な「二つの WG」の選択となっていると言えよう。ところが、エンデでは二種類の WG は、 MB とMMB ではなく、 MB (「女(母)の背中」と呼ばれる)と FMB (「男(父)の背中」)なのである。この二つの WG の間には「ライン」は存在しない。
エンデで「男の背中」(FMB)という WG が選択されるのは、いったいどのようなロジックに基づいているのか、その答をさぐるのがこの発表の目的である。出発点は、東インドネシアという領域の中での、エンデの持つ特異さからはじまる。それは、エンデには(属性で定義される)集団(たとえば「氏族」、「リネージ」などなど)が存在しないという点である。エンデでは、集団はつねに錯綜する関係の中で、より正確には錯綜する交換の中に、浮かぶ儚(はかな)いものでしかないのだ。そのような交換が、「女の背中」だけでなく「男の背中」をも必要とするという点を論証していきたい。
(以下は 2024年度のもの)
申請時に提出していただいた発表要旨とは別に、大会要旨記入フォームにあらためて発表要旨をまとめた上で、大会理事までメールへの添付でお送りください。
提出締切は、研究大会の1ヵ月前までに会員に要旨が届けられるように11月7日(木)とします。もしどうしてもそれまでにご提出いただけない事情がある場合は、お早めにご相談ください。
演題は申請時のものから変更しないでください。どうしても変更が必要な場合は、ご相談ください。
なお、レイアウトの都合から、全体プログラムの一覧には主題のみ記載し、副題は省略させていただくことがありますのでご了承ください。
主題の字数が多くてレイアウト上の問題がある場合には、個別にご相談させていただくことがあります。
発表要旨は会員メーリングリストを通じて会員に事前配布されます。
記録として残りますので、読み手が読みやすいものを心がけてください。
申請時の要旨以上に、当日の発表内容に即して具体的かつ詳細に記載するようお願いします。
「AとBの違いについて述べる」のように発表の方向性を示すだけではなく、「AとBの違いは×××である」というように報告の結論に当たる部分(研究を通じてわかったこと)を示してください。
大会理事が必要と判断した場合にはリライトを求めることがありますのでご留意ください。
発表時間は以下の通りです。時間厳守でお願いします。
東南アジア学会の研究大会では、研究大会のプログラムと発表要旨は会員メーリングリストを通じて事前に配信され、参加者が各自でダウンロードし大会に臨んでいただくことになっています。
発表要旨以外のレジュメや資料などの報告資料も、大会1週間前を目途にご提出いただき、大会当日には参加者が各自ダウンロードできるよう専用サイトにアップロードいたします。
詳細は追ってご連絡いたしますが、あらかじめそのつもりでご準備ください。