1 序---モノの人類学
1.1 [言い訳]
1.2 [人類学の流れの中で]
1.3 [中川の流れの中で]
2 表象の仕方
2.1 [モデルの方向]
2.2 [模型は何かを表象している]
2.3 [世界の中の位置]
3 介入の仕方
3.1 [アフォーダンス]
3.2 [比喩、知覚、理解]
1.3.1 二つの世界
人類学と遊び---二つの世界
- 人類学:ぼくの文化/彼らの文化
- 遊び:生きている世界/遊びの世界 (将棋、鬼ごっこ、)
- のめりこむ/一抜ける
1.3.2 『語りえぬものを語る』との出会い
もう一つの世界はない
- 概念枠組(通約不可能性)
- 異文化が *ある* ことが認識できない
- → 複相把握 (2014)
1.3.3 分析美学との出会い
(完全に)のめりこむわけではない
- 美学の常識: 恐怖とは?
- 不信の宙吊り、距離の削減
- → 内包オペレーター (2015,16)
1.3.4 『表象と介入』との出会い---いまここ
科学における表象と介入
- 理論が(世界を)表象する → 反実在論
- 実験が(世界に)介入する → 実在論
模型は
- モデルは(理論と現象の)中間にある
模型・モデル・おもちゃ
- 科学:模型・モデル(分子モデル)
- 芸術:彫刻
- 遊び:おもちゃ
- 人類学:藁人形
というわけで、二つの視点がある
- 模型:知覚されるモノ
- 模型:世界を表象し、世界に介入するモノ
2.2.1 表象と類似性
表象の条件
- A がB の(表象としての)模型であるこ との必要・十分条件は?
- 人体模型が人体のよい模型であるためには?
- 彫刻(「考える人」)が 人体のよい模型であるためには?
- フィギュアが「セーラームーン」のよい模型で あるためには?
- 藁人形が敵のよい模型であるためには?
似ているとは? 1/2
- 絶対的な「似ている」はない
- ある種の「約束事」が常にある (遠近法もそうである)
- スタイルの中で、時代の中で、文化の中で
- 似ているのだ
- 「類似性a」 としよう
写実主義
- 「写実主義」(realism) とは表象と 対象の関係ではなく
- 表象と(ある時代の)スタイルとの関係である (グッドマン)
似ているとは? 2/2
- 絶対的な「似ている」がある
- 絶対的な写実主義(洞窟絵画と自閉症児の絵)
- 「類似性b」 としよう
オースティンの真理(ホントウ)
- 類似性a も類似性b もあると考えよう
- 類似性a → "true of" (議事録など)
- 類似性b → "true to" (写真など)
- あるいは:路線図 (a) と地図 (b)
類似性a
- 構造(レヴィ=ストロース)→ 分子モデル、 路線図
- 忠実度(fidelity) (グッドマン)→ カラー写真のネガ (補色)
類似性b
- 「似すぎている」 /ホンモノになる/模型でなくなる
- 彫刻に色がないこと (ヘルダーによる「かつての理論」)
- 近松門左衛門の「虚実皮膜」論 (文楽の人形)
二つの非類似性
- 類似性a → 間違えている(『スナーク狩り』 空白の海図)
- 類似性b → 似ていない(『シルヴィと ブルーノ』)実物大の地図(→ 後に)
2.2.2 換喩と陰喩
ヤコブソンの比喩の分類
- 換喩(metonymy)--- 隣接性の軸(タコヤキ)
- 隠喩 (metaphor) --- 相似性の軸(タイヤキ)
フレイザーの呪術の分類
- 感染 (contagious) 呪術 --- ホンモノを含んでいる(換喩)
- → 類似性a (true of)? OR 類似性c
- 類感 (sympathy) 呪術 --- ホンモノに似ている (隠喩)
- → 類似性b (true to)? OR 類似性d
換喩と例化/例示
- 換喩的表象はホンモノを含んでいる
- 日本の藁人形
- (グッドマンの例化 exemplification) 布地サンプルは? (全部が部分)
属性の例化
- 布地サンプル:質感など、(not サイズなど)
- 指揮者(テンポ、リズム):属性をもっている
- 音楽の鑑賞(指でリズム)→ 音楽の踊り(?)
- → cf: Rocky Horror Picture Show の鑑賞(?)
例化:のどの模型
- 『クレヨンしんちゃん』
- 床屋学校でのど(実物)を剃るための、 風船(模型)をつかった練習
- 「やわらかさ」という属性 → 換喩的?
例化:歯の模型
- 隠喩的なモデルである
- ホンモノの歯(質感という属性の強調) を使うこともあるそうだ (詳細不明) → 換喩的?
隠喩の答=例示
- 「彼女は薔薇だ」
- 「美しさ」の共有/換喩?
- 「答」がで出ない状況では?
2.3.1 小道具
ウォルトンの(ごっこ)小道具論
- 小道具は公的で、想像力を導く
- 小道具に備わる属性が規則となる(数、大きさ)
2.3.2 尺度
『模型の時代』小松左京
- 1/1 模型の氾濫(家がすべて模型) → 「実用的になるのは模型の堕落だ」
- 顕微鏡で作る自動車(何万分の一)
- 戦艦大和の1/1
- 日本の1/1、月の1/1
小さい模型(レヴィ=ストロース)
- 大きい実物:細部から全体へ
- 小さい模型:全体から細部へ
大きい模型(宮崎・上野)
- 実物:モノが水の中で浮く
- 模型:モノが砂・ボールベアリングで浮く
視点システム
- 大きいモデル、小さいモデルは、
- モデルのスケールが変わる → 視点が変わる
- そろそろ「介入」へ
3.1.1 彫刻と知覚
彫刻の見方
- 絵画は定点から視る
- 彫刻は動きまわる(ヘルダー)
視ると動くこと(ギブソン)
- 環境視 (ambient view):顔を動かす、 周囲を見回す
- 移動視 (ambulatory view):立ち上がる、 動き回る
- ← (遠近法の不自然さ)
3.1.2 彫刻と触覚
高村光太郎
- 私は彫刻家である。
- ・・・私にとって此世界は触覚である
- ・・・彫刻はいちばん根源的な芸術である
ヘルダーの彫刻論
- 細部(髪、眉)にこだわると、触覚に逆らう
- 彫刻は真実であり、絵画は夢である
- 彫刻はそこ(わたしと同じ世界)にいる → 遊びの小道具(ウォルトン)
モリヌークス問題
- 生まれつきの盲人/触覚で球体と立方体を 区別し、名付けることができるようになった
- → 視覚をもつ/(触らずに)球体と立方体を 球体と立方体を認識できるか? どっちがどっちか言えるか?
- (Wikipedia によれば)「言えない」らしい
アクティブタッチ
- 対象に能動的に触れること
3.2.1 佐藤のレトリック論
佐藤の諷諭 (allegory) 論
- 隠喩がいちど始まると諷諭としてつづいてゆく
- 「心の戸をなかばあけて・・・」(川端康成)
- 「土足ではいりこむ」
- 「戸をあけはなつ」
- 「戸口のベルを鳴らす」
諷諭は二つの物語の並列である
- 波子の心の中を《実話》(本名)と呼べば
- 「戸をなかばあけて」は《たとえばなし》 (あだ名)である
- 二列の意味が共存し、平行する
発見的諷諭
- 構造不明の対象を理解するのが発見的諷諭である
分子モデルは
- 諷諭である
3.2.2 宮崎・上野の視点論
宮崎・上野『視点』
- 1章見ることと視点
- 2章見なすことと視点
- 3章視点を動かすことによる理解
- 4章視点をみつけること
- 5章情景の理解と視点
- 6章 "見る" 視点と "なる" 視点
- 7章心情の理解と視点
- 8章暗黙知としての視点
スライドは
- これでおしまいです
Bibliography
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ENDNOTES